写真:田中孜院長
「住民が安心して地元で治療が受けられる地域密着型の病院を目指したい」と語る田中孜院長=関市若草通、中濃厚生病院

 「住民が安心して地元で治療が受けられるよう、総合的で質の高い医療を提供できる病院でありたい」と語るのは中濃厚生病院の田中孜院長(63)。中濃圏域の中核病院として、住民から寄せられる期待は大きい。

 県内5番目に開設された救命救急センターは今月で10年を迎えた。▽救急患者の受け入れを断らないこと▽救急救命士とともに救急診療を行うこと―を理念に、救急車の受け入れ応需率約98%と全国平均を上回る。救急専属の医師5人を置くほか、現場の救急救命士がPHSですぐさま医師から指示を受けるホットラインも県内で初めて確立した。

 10年間には曲折もあった。2006年ごろに軽症患者の搬送が集中。本来の三次救急の役割を果たすのが困難になったが、地元医師会や近隣病院などの協力で“危機”を脱した。08年4月からは、武儀医師会に加盟する開業医らが平日夜間の診療に対応する「初期夜間急病診療支援室」を院内で始め、軽症の子どもの診察をサポートしている。田中院長は「医師会や近隣病院、行政の支援があったからこそ、現在の救急体制がある。地元で治療を受けてもらうためにも病院同士の病・病連携、開業医らとの病・診(診療所)連携が不可欠では」と強調する。

 後進育成にも余念がない。03年の管理型臨床研修病院指定から毎年平均6人の初期研修医を受け入れ、へき地の診療所への派遣を実施。「当院は各科の垣根も低く、さまざまな実践が経験できる。高度な技術を磨くとともに、へき地医療の現場を学ぶのも資質向上には重要」と田中院長。救急救命士の研修は、地元の中濃消防組合だけでなく可児や郡上からの受け入れも行う。毎月の事後検証会では医師と救急隊員が意見を交わし、より良い対応を目指している。

 DMAT(災害派遣医療チーム)は既存の1チームから、さらに1チーム増やす予定。「今後は脳卒中センターなどの設立、胸部外科や口腔(こうくう)外科などの新設を視野に、病床数500床、常勤医師100人(現在76人)を目指したい」と環境整備に力を注ぐ考えだ。

【中濃厚生病院】 1948(昭和23)年1月に県産業会中濃病院として開院。同8月に県厚生連中濃病院と改称。2000(平成12)年8月、現在の関市若草通への新築移転に伴い、救急救命センターを開設した。05年、現在の病院名に。26診療科を有し、職員数は約770人。病床数は383床(うち感染症6床、救急救命20床)。08年には放射線治療病棟を設置し、外来化学療法などを開始。ヘリポートも備える。電話0575(22)2211。