いま 学校で
多彩に教員研修を企画/県総合教育センター
「教えの場」充実目指す
「情熱、スキル高めたい」
2011年10月31日
児童・生徒の「学びや」は、教師にとっては「教えの場」。子どもたちがいて大人がいる。教室、学校は、そうした異年齢の交流の場所ともいえる。学級崩壊や不登校、保護者から寄せられる注文など―。今、学校をめぐるさまざまな課題が議論される中で、「岐阜県総合教育センター」(岐阜市薮田南)では豊かで明るい授業・教室づくりに向けた研修講座を開いている。講座に参加する教師はベテランも多く、おのおのが自らで教育の在り方、授業の進め方を模索している。教育センターの活動を探った。
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理科の実験も披露した研修講座。教わる立場を体験し、指導する上での大切なポイントについて学ぶ教師たち=岐阜市薮田南、県総合教育センター
「子どもたちを指導している私たちこそ、学び続けなければいけない」。こう語ったのは研修講座に参加した小学校の教師だ。センターでは、経験年数や職務に応じた基本研修講座のほかに時代の変化の課題に対応するための専門研修講座を企画、本年度は計208講座を企画している。
センターは教員相互の研修の場としての位置付けがあるが近年、より受講しやすいように「元気な会議、動く組織をつくるマネジメント」「みんなのやる気を引き出す秘訣(ひけつ)」といった具合にサブタイトルを付け内容を分かりやすく工夫。さらに演習や模擬授業、民間企業人の体験談などを聞く講座もあり、教育関係者だけでなく一般人としても受けてみたくなるような内容だ。
今月5日には岐阜、東濃、中濃、飛騨地区をインターネットで結んだ講座を開き、小中高校教師125人が、「先行学習から入ると分かる授業になる〜教えて考えさせる授業の方法〜」を受講した。
講師は授業インストラクターとして全国の学校などを回っている鏑木良夫さん。埼玉県の教員として理科授業研究に取り組み、小中学校の校長も務めた。講義では、具体的な理科の実験を通して授業一般の指導技術を伝授しつつ、自身の教育への思いにも及んだ。
「『テストはほとんど満点だが、授業では手を挙げない生徒がいる。どう成績を付けたらいいか』とある教師から相談された。悩んだ末、その教師は『自分の意見を発表する表現力を高めてもらいたい』と願い、10点中の9点としたが、子どもの性格もある。手を挙げないだけで評価していいのだろうか、考えれば考えるほど評価の難しさを感じる」。また、「ある児童の発表に別の子が『同じです』と答えることがあるが、それで終わっていないか。同じ考えでも答え方、表現方法はみな違う。『同じです』と子どもが答えたときは、あなたはどう思うの、“and you”と尋ねてほしい。内容は同じでも違った表現で返ってくるはず」と示唆に富んだ事例も披露した。
受講した教師たちは、「何を意識し指導に当たればいいのかのヒントが多くあった」「情熱、熱意だけではなく、スキルを高めたい」。さらに「時代時代で教育的課題も変化するが、自身の考えが凝り固まらないように学び続けたい」と語ったキャリア30年以上のベテラン教師もいた。
大平高司センター長は、「教育とは終わりのない地道な挑戦の日々。大量退職、大量採用の時期を迎えるが、若い先生たちが着実に力を付けていけるように研修の改善も重ねたい。学校に出かける出前講座などで教科指導・学級経営などの校内研修も充実させていきたい」と意気込む。
授業・教室・学校を成り立たせるのは、いうまでもなく児童・生徒と教師たちだ。
「子どもの教育の充実」は、いつの時代も変わらぬ教師たちの願い、課題だ。それはまた、「昨日よりは今日、今日よりは明日、一歩でも前進を」と“脱皮”を目指す先生の「学びの場」を提案するセンターにとっても、大きな目標、課題に違いない。
(神保絵利子)
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【県総合教育センター】 1949(昭和24)年に県教育研究所として発足。その後、理科教育センターが開所し教育センターとして再編。2000年に情報処理教育センターなども組織統合し、現名称に改め、現在に至る。