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記事選び広がる視野/関市・安桜小

児童、内容要約しスピーチ

2017年 3月20日

児童らが取り組んだ学習新聞、スピーチ用のワークシートなどを見せる、NIE担当を務めた(左から)高橋有津美教諭、西尾志保教諭、栗山大教諭=関市いろは町、安桜小学校
児童らが取り組んだ学習新聞、スピーチ用のワークシートなどを見せる、NIE担当を務めた(左から)高橋有津美教諭、西尾志保教諭、栗山大教諭=関市いろは町、安桜小学校
 「新聞を通して社会的事象に興味をもち、柔軟に表現する子の育成」。本年度のテーマをこう掲げ、NIE実践指定校(2015、16年度)の活動をしてきた安桜小学校(関市いろは町、長瀬秀子校長)。4〜6学年(全7学級)の児童を中心に、新聞記事をもとにしたスピーチをはじめ、多様な実践に取り組んできた。新聞に触れる機会を重ねることで、自己の考えを持ち、言葉や文章の表現力の育成を目指した。学年のNIE担当者になり、実践の推進に努めてきた教諭3人は児童の変わる姿を目にし、手応えを感じている。

 異動によって本年度は担当者が代わり、西尾志保教諭(5年)、栗山大教諭(6年)、まとめ役の高橋有津美教諭(4年)が務めた。

5年1組で行われた新聞記事のスピーチ。2人が紹介した記事に対し、聞いた児童のうち、7人が感想や意見を述べた=同(2月21日)
5年1組で行われた新聞記事のスピーチ。2人が紹介した記事に対し、聞いた児童のうち、7人が感想や意見を述べた=同(2月21日)
 1年を通し、スピーチを継続したのは5年生。朝の会で児童が気になった記事を紹介。内容を要約し、読んだ感想や考えたことを発表した。「言いっぱなしではなく、仲間(聞いた人)から意見をもらい、答える。そうしたやりとりで『伝える力』が付いていく」。西尾教諭は、質問や意見のやりとりを意図した。やっていくと、共感してもらえたり、自分との考えの違いに気付いたりして面白さを覚え、長いスピーチができるようになり、聞く方も挙手が多くなった。

 意欲的に取り組んだ1人の橋本侑祐さんは、家庭で祖父母ら家族とも新聞に親しむようになった。「新聞は意外と楽しい。いろんなことを知りたくなる」と話す。赤尾俊介君は先月初め、トランプ米大統領が発令したイスラム圏からの入国禁止措置に関する記事でスピーチ。「テロをしない一般の人までまきこまれる」と問題提起した。その後、金正男(キムジョンナム)氏暗殺事件が起き、世界の動きがますます気になっている。自由な記事選びで、ニュースや話題が多岐にわたった。「そんなことがあったんだ」と聞く方の発見は多く、「視野が広がっていった」(西尾教諭)という。

 栗山、高橋両教諭もこの1年で児童の変化を感じ取った。6年生の社会科の授業で新聞記事を提示してきた栗山教諭は2学期末、記事への反応の仕方から「世の中の出来事を自分たちにつなげて考えられるようになってきた」と感じた。江戸時代の身分制度、戦争といった日本の歴史を学び終え「知識が蓄えられたから」と見ている。公民的分野へと進んだ3学期。米大統領の入国禁止措置の記事に対し、日本国憲法の「基本的人権の尊重」を学ぶさなかの児童らは「特定の国の人が入れないのはおかしい」と声を張った。4年生は福祉の学習で新聞記事を収集した。学習後にも高橋教諭のもとに切り抜きを持ってくる児童がおり「社会で困っている人の存在を知り、『自分たちにできることがあるのでは』と自問する姿がみられた」という。

 学年や個々で態様に違いはあっても、社会に目が向けられ、身近な問題と捉える意識が芽生えてきた児童ら。教諭3人は「新聞があったからこそ」との思いを強くしながら、実践の成果を実感している。