新聞で学ぼう
県内でのNIE活動開始から10年
口羽益生・県NIE推進協議会長に聞く
新聞は生きた教材 生き方探るツールにも
2007年 4月30日
新聞を教育に役立てるNIE活動が日本で始まって18年。県内では1997(平成9)年3月に県NIE推進協議会が発足して以来、延べ44(小学校17、中学校17、高校10)の実践校を中心に取り組みが進んでいる。同協議会の会長を2005年から務める口羽益生・岐阜聖徳学園大学学長に、NIE活動の現状や今後について聞いた。
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「新聞はさまざまな関心を育てる生きた教材。積極的に役立ててほしい」とNIE活動について語る口羽益生・県NIE推進協議会長=岐阜市柳津町、岐阜聖徳学園大
―NIE活動の現状をどう見るか。
各地の実践校ではアイデアに富んだ素晴らしい取り組みをしている。ただ、その広報や普及活動がいまひとつ薄いように思う。NIEは教育界、新聞界のどちらにとっても意義深いことで、毎年、活動推進のための全国大会もある。こうした場に教員など関係者が積極的に参加し、やり方を磨いていってほしい。
―県NIE推進協議会では毎年、実践報告書を出しているが、印象に残った事例は。
04年度報告書の大垣市立静里小(指導・宮川恵子教諭)が活動の格好の見本になると思う。5年生が「自分の考えや思いを豊かに表現する」をテーマに、総合的な学習、国語、社会、理科の各教科にわたって、各学習テーマの関連記事を集めて幅広い理解に努め、最後はインタビューや取材をして、一人一人が手書き新聞も作った。集め、整理し、伝え、交流する―という「情報」にまつわる四つの基本作業を実践した。
「新聞を通して“ふるさと岐阜”に愛着を持つ」をテーマに活動した06年度の岐阜市立長良小(指導・松田雅裕教諭)の取り組み=別掲=も、同様に手作り新聞までこぎ着け、中身が濃い。
―新聞は活字媒体の最大の担い手だが、ネット時代にあって、どのようにNIEを展開したらよいか。
新聞は興味、関心を広く育てる生きた教材。丸ごと紙面全体がその時々の社会や世界の全体像を伝えており、そこがネットにはない良さ。だからマクロとミクロ、両方のニュースに関心を持ち、豊かな常識を身に付けたり、生き方を探るツールとして役立ててほしい。教員の指導力、企画力もポイントになる。読む習慣をつくるには小中学生のころが肝心だ。
NIEの方法も年代によって違ってくるはずで、やはり小学生に対するのが一番進めやすいのではないか。県内でNIE活動が始まって10年。成果と展望をまとめ、皆さんに提示する時期にも来ていると思う。
(森川洋)
6月に懇談会 県NIE推進協議会
県NIE推進協議会(事務局・岐阜新聞社)は、県内に拠点を構える新聞・通信各社と県教委、県高校長協会、県小中学校長会などで構成し、本年度の初活動として6月に懇談会を開く。
懇談会では新規6校(予定を含む)、継続3校の本年度NIE実践校の指導教員と協議会員が顔を合わせ、実践内容について話し合う。
7月26、27日には岡山市でNIE全国大会(日本新聞教育文化財団主催)が開かれる。「NIEの魅力再発見―新聞を通して見えてきたもの」と題したパネルディスカッションと分科会があり、県内からも指導教員が参加する。9月以後はNIE公開授業やセミナーを開く予定。
本年度の県内NIE実践校は次の通り。
【新規】蜂屋小(美濃加茂市)東野小(恵那市)池田中(池田町)郡南中(郡上市)岐南工高(岐阜市)岐阜農林高(北方町)
【継続】長良小(岐阜市)茜部小(同)伊奈波中(同)
クラブ活動で新聞作り 岐阜市・長良小の取り組み
切り抜きなどによる「新聞で新聞作り」について発表する長良小学校児童ら=岐阜市長良の同校
NIE活動の好例として、岐阜市立長良小学校(2006、07年度実践校)の活動を紹介しよう。
同校は06度、4―6年生が参加するクラブ活動「いずみ」の中で「新聞で新聞作り」を行った。
社会科が専門の松田雅裕教諭が「古里への愛着心を育てたい」とこれを指導。児童が思い思いのテーマを決め、新聞から関連記事を切り抜き、他の資料にも当たって学習を深めながら、切り抜きで構成した新聞を手作りした。
出来上がったのは「岐阜の長良川・鵜飼新聞」「みんな大すき ぎふスポーツ新聞」「岐阜いきいきお年寄り新聞」「生き物大集合岐阜新聞」など。どれも幅広い視点からそのテーマをリポートしており、例えば「鵜飼新聞」では、鵜飼の記事だけでなく、中秋の名月や長良川洪水の写真、さらに自分のコメントも書き加え、「鵜飼について深いところまで分かる」と好評だった。
「新聞が好きになり、より身近に感じられるようになった」と児童らは話している。
NIE(Newspaper In Education)
学校などで新聞を教材として活用すること。1930年代に米国で始まり、日本では90年代から本格化した。教育界と新聞界が連携し、社会性豊かな若者の育成や活字文化の健全発展などを目的に展開されているが、読解力、分析力、コミュニケーション能力の向上も直接的な効果として挙げられる。2006年度末までのNIE実践校は全国で490校。日本新聞教育文化財団は日刊紙発祥の地である横浜市に、日本新聞博物館とNIE全国センターを開設している。