介護職をする上で、悩みの種になりやすいのが腰痛。体格の良い利用者を車いすからベッドに移乗介助する際などは特に、介護職員に負担がかかりやすいです。安八郡神戸町の特別養護老人ホーム「ラック」では、職員の身体の負担を軽減させようと、電動で座面の高さや角度が自由に調整でき、さらには横移動もできる高機能な車いす1台を1年ほど前に導入しました。

座面の高さや角度を自在に調整できる高機能な車いすを使うことで、介護職員は利用者を抱きかかえることなく移乗介助が可能に

 現在は6人の利用者が交代で使用。入浴の前後に使う利用者が多く、入浴ストレッチャーに横付けし、車いすをフルフラットにしてひじ置きを下げ、入浴ストレッチャーと同じ高さにそろえて職員2人でスライドさせれば、抱きかかえる動作をほとんどしなくて済みます。入浴後に居室に戻る際も同様に少ない負担で移乗介助ができます。他にもこの車いすは、座位姿勢を保持させやすい角度に調整できることから、食事の際に毎回使う利用者もいます。

 介護職員で研修委員長の中尾舞さんは「研修委員会ではずっと、腰痛を起こさないためにできることを探していました。この車いすの導入で、介護職員の負担が減っただけでなく、利用者もより安心して介助を受けられるようになったと思います。これからも上手に活用していきたい」と話しています。