衆院選の争点を話し合う「岐阜県若者の選挙意識を高める会」のメンバー=岐阜市柳戸、岐阜大

 「教育実習が6日間だけだった」「国の政策を自分ごとと捉えるようになった」―。新型コロナウイルス感染拡大の影響をまともに受けた学生たちは、コロナ下で初めて行われる衆院選をどう見るのか。有権者が多く投票率も高い高齢者向けの施策を優先し、投票者の少ない若者に対する政策を後回しにする政治は「シルバー民主主義」とやゆされることがあるが、現状はどうなのか。18~21歳の大学生に尋ねると、関心を引く政策が争点化されていないとの不満が聞かれた。

 岐阜大(岐阜市柳戸)教育学部の学生約40人でつくる「岐阜県若者の選挙意識を高める会」に取材を申し込むと7人が学部棟の一室に集まってくれた。同会は小学校で選挙の意義を伝えたり公約を分析したりして政治と向き合っている。

 コロナの影響については、感染拡大で学業にもアルバイトにも制約がある現状に不満が噴出した。同会代表の3年石原茉友さん(20)は、4週間の予定の教育実習を小学校の分散登校のため6日間しか行えず「本当に実習になっているのか」と疑問を抱く。他に「リモートの講義の質が不十分」「バイトを勝手に休みにされて生活が苦しい」という声も上がった。

 一方で、「こうした苦しみが若い世代の関心を国政に向けている」との指摘も。3年遠藤貴和子さん(21)は「国が決めた緊急事態宣言や支援制度を自分ごとと捉える人が増えてきた」と語った。

 ただ衆院選の投票率向上につながるかには懐疑的な見方をする学生が多かった。3年宇野蓮華さん(21)は、居酒屋を経営する知人家族を思いつつ「国のコロナ対策は後手後手。何を期待しても無駄だと感じる」と諦め顔だ。

 「新型コロナが若者に政治を身近にした一方で、衆院選では彼らにヒットするような争点は見えてきていない」と分析するのは、主権者教育推進のため同会を結成した岐阜大教育学部の田中伸(のぼる)准教授。学生たちが衆院選の争点に挙げたのは、経済的な理由で生理用品を購入できない「生理の貧困」の解消、大学教育の質の保証など差し迫っていて具体的な政策が多かった。

 田中准教授は候補者と若者の対話の重要性を強調する。「立候補する人は若者と直接話し、ニーズを把握してほしい。話題を決めテレビ会議システムで話したり、ネット記事のコメント欄から意見を吸い上げたりするのも若者の望みを知る手段の一つだ」と語った。