「結婚すると夫婦どちらかが名字を変えなければならないのは、なぜ」。31日投開票の衆院選で争点の一つに挙がる「選択的夫婦別姓」を巡って、無料通信アプリLINE(ライン)で読者とつながる「岐阜新聞 あなた発!トクダネ取材班」(あなトク)に、制度導入への賛否の声が寄せられている。明治期以来続く規定から「時代に合っていない」「同姓が当たり前になっているのはおかしい」といった意見がある一方で、「通称使用の拡大や新旧併記で十分なのでは」といった慎重論も見られる。

 「名字を取られて心にぽっかり穴が開いたような感じが、高齢者になった今も消えない」。そうメッセージを寄せたのは岐阜県郡上市の無職女性(67)。1年半前、生まれ故郷に戻り、先祖代々の墓を守る。

 現在は生来の姓を名乗るが、結婚に伴い一時期は名字の変更を余儀なくされた。自ら望む姓を選べない現行制度への違和感を抱き続けてきた。選択的夫婦別姓の導入を目指す有志でつくる団体「ぎふ別姓の会」に2年ほど所属したが、世間の議論が進む兆しが見えないことから、自身の活動も停滞した。「国会議員の大半は男性。姓で苦労したことのない人が多いから議論が進まないのでは」

 夫婦別姓を巡っては、30年近くにわたって議論が繰り返されてきた。1996年、法制審議会が民法改正案の要綱を答申したが、慎重論が根強く、国会上程が見送られた。直近では今年6月、夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定が憲法に反するかが争われた民事訴訟で、最高裁は「合憲」との判断を示した。衆院選公示前に岐阜新聞社が実施したアンケートでは選択的夫婦別姓の導入について66・6%が賛成意見を示した。

 現行制度が結婚の障壁になったという人もいる。結婚を見据えていた大垣市の女性会社員(28)は愛着ある名字を変えることに戸惑い、当面は入籍しないことにした。「別姓が認められれば、すぐにでも入籍する」と複雑な心境を明かす。

 一方、伝統的な家族像を守る観点から、導入への反対意見や懸念の声も寄せられている。

 岐阜市の主婦(81)は、「導入によって家族の絆が壊されてしまう」と懸念した。東京都の自由業男性(59)は「例えば夫婦の子はどちらの姓を選べばいいのか。連綿と続く日本の戸籍制度や過去帳などの在り方を壊す」。郡上市の男性会社員(63)は「結婚後の新しい姓と旧姓を併記する形を取れば十分では」と対案を挙げた。瑞穂市のパート女性(40)は「導入の必要はない。物事を何でも変えようとする前に、なぜ昔から続いてきたか、その価値を知ることが大切」と寄せた。

 今回の衆院選で各党の主張を比べると、自民のみが導入に慎重な姿勢を示している。

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