出水期が近づき、水害への注意が必要な時期を迎える。県内では昨年、豪雨などによる甚大な被害は見受けられなかったが、東北、北陸で大規模な線状降水帯が発生するなど、地球温暖化による大雨が全国各地で発生。改めて水害への備えの必要性を感じさせた。そこで岐阜大応用気象研究センター長の吉野純教授に気象情報の活用や注意などを聞いた。また、県内の中学生による精力的な防災活動や、県が注力する「災害・避難カード」の若者への普及についても紹介する。(この企画特集は5月に取材しました)
防災活動大賞の神岡中文化部

飛騨市神岡町の神岡中学校文化部は、昨年度の「第4回防災活動大賞」(清流の国ぎふ防災・減災センター主催)で、大賞に選ばれた3団体の一つだ。同部は学校や地域への貢献活動などを中心に幅広く活動しており、防災にも尽力している。
現在21人の部員がおり、6人がすでに防災士の資格を取得。3年生の中には1年時に資格を取得した部員もいる。防災士の資格を持つ辻井匠さんは「学んだことを生かせるし、自分に何ができるのかが分かった」と実感。南野聖七さんは「実際に地元で地震が起きた時に、慎重に身を守る行動を取ることができて自信につながった」と胸を張る。
現在の3年生が1年時に制作を始めたのが「防災かるた」だ。防災を身近に感じてもらい、楽しく学べることを重視した。参考資料としたのが飛騨市のホームページに掲載されている「我が家の防災」や、防災リーダー養成講座教本。当時の先輩部員や顧問の先生からのアドバイスを受けながらかるたの内容を何度も改訂し、完成まで1年近くの時間を費やした。完成した防災かるたを地域の小学校や保育園、図書館などに贈呈し、「園児に防災を学んでもらえる」「大事に使わせてもらう」と感謝された。

かるたを使って防災知識を深める生徒たち

神岡中学校文化部の部員たちが制作した防災かるた
同校で行われた「命を守る訓練」では、自分たちで作った「防災・減災クイズ」を全校生徒に出題。清流の国ぎふ防災・減災センターが開発した防災行動を支援するアプリ「減災教室」を参考にした。3年生の生徒たちにオンラインでクイズの出題と説明を行った部長の西浦竜矢さんは「緊張したがクイズをやってもらえてうれしかったし、やって良かった」と振り返る。
また、元飛騨市消防職員で、現在は同校校務員の坂場順一さんの指導で「校内防災ウォッチング」を行った。学校内を見回り、消火器やAED、避難ハシゴなどの設置場所を把握。災害時に備え、使用法も学んだ。今後、校内の消防用設備の設置場所を示す図や、消防器具の使い方などが記された校内用の防災マップを制作する予定だ。