出水期が近づき、水害への注意が必要な時期を迎える。県内では昨年、豪雨などによる甚大な被害は見受けられなかったが、東北、北陸で大規模な線状降水帯が発生するなど、地球温暖化による大雨が全国各地で発生。改めて水害への備えの必要性を感じさせた。そこで岐阜大応用気象研究センター長の吉野純教授に気象情報の活用や注意などを聞いた。また、県内の中学生による精力的な防災活動や、県が注力する「災害・避難カード」の若者への普及についても紹介する。(この企画特集は5月に取材しました)
 

災害時の行動を明記

 県は「災害から命を守る岐阜県民運動」の一環として、「災害・避難カード」を作成する取り組みを県民へ広く促している。「災害・避難カード」とは、事前に避難のタイミングや避難場所までの経路などを自らカードに書き込むことで、自分や家族が土砂災害や洪水などが発生する前に取るべき行動手順を一目で分かるようにしたカードだ。作成したカードを自宅の目につく場所に掲示しておくことで、日頃から災害に備えることが可能となる。また、定期的にカードの内容を見直して改善を図ることで、より適切な避難を行えるようになる。

出前講座で災害・避難カードの使い方を説明する県職員

若者の防災意識向上へ

 また、県は若い世代に対してもカードの作成を促しており、昨年度から希望する県内の学校で「災害・避難カード」特別講座を開催している。防災に詳しい大学教員や県防災課の職員らが講師を務めており、本年度は現時点(5月25日現在)で計16校にて開催予定だ。この講座は、子どもを通じて各家庭へ「災害・避難カード」の普及を図るとともに、教員らの防災意識の向上も狙いとしている。

 講座の対象は小学5年生から高校3年生までで、受講した児童・生徒からは「大雨が降ったらどうやって逃げるのか、家族で話し合わないといけない」「災害が発生しそうな時は早めに避難したい」と災害への備えを意識する声が上がった。また、実施した学校からは「生徒が災害時の備えを確認する良い機会となった」との感想もあった。

 県が行う講座以外の場や各学校の授業でも「災害・避難カード」を扱えるよう、県のサイト上では授業用動画やワークシートなども公開している。県は、県内の学校での活用を広く呼びかけている。
 

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