―創業100年の老舗ですね。

 創業は大正8(1919)年。物故巨匠である熊谷守一、藤田嗣治、香月泰男作品などを扱っています。とりわけ熊谷守一先生は、先代が武者小路実篤先生にご紹介いただいてからの縁で、油彩画は生涯作品の約2割に当たる二百数十点、ほかに水墨淡彩画、書などを多数扱ってきました。

 ―熊谷作品に関する事業展開は。

 2007年に「熊谷守一生前全版画集」を企画制作しました。鑑定書と同様の権威がある画集です。25年かけて資料を集めました。東京・銀座にあるような一流画廊と肩を並べるには、地道な研究が必要です。先生の次女熊谷榧(かや)さんからの業務委託もあって、無断複製版画を取り締まる調査もしています。社員である娘(市川瑛子)は学芸員資格があり、学芸員のいる画廊は、そうはありません。東京国立近代美術館で開かれた「熊谷守一 生きるよろこび」展では、柳ケ瀬画廊が「特別協力」として参画できました。さらに、競売会社クリスティーズやサザビーズから作品の取り扱いについて協力を求められています。熊谷先生が世界的に知られることにつながったならうれしいです。

 ―地域貢献に力を入れていますね。

 熊谷先生が亡くなるまで住んでいた東京都豊島区と岐阜市を引き合わせ、地域間交流のお手伝いをしています。また、柳ケ瀬商店街が困難な状況にあった2010年頃から、商店街の立て直しに取り組みました。岐阜柳ケ瀬商店街振興組合連合会の会長や理事長などを務め、暴力団の排除、駐車所や空き店舗対策、組合財政の健全化を進めました。現在の柳ケ瀬は活気が戻りつつありますが、苦しかった時期の教訓を忘れないようにしなければなりません。

 ―新年の抱負を。

 創業100年を越えて、これからも熊谷守一ファン、コレクターの皆さまと共に、秀作を探求していきます。