高度成長期の古里を写す
牧場の牛と一緒に歩く少女、伊吹山麓でフォークダンスを楽しむ若者、田植えを手伝う子ども...。人々の営みや生き生きとした表情を切り取ったモノクロ写真が並ぶ。
東京・半蔵門の日本カメラ財団(JCII)のフォトサロンで29日まで開かれている作品展「望郷の岐阜・愛知」。1963年から69年にかけて、ふるさとの岐阜や愛知県で撮影した77点を展示した。「高度経済成長のもと、みんな希望にあふれていた時代。その土地の生活のにおいのようなものが伝われば」と話す。
羽島市出身。小学6年生の時、父親の暗室で現像を体験したことがきっかけだった。「画像が浮かび上がった時は魔法だと思った」。独学で写真を学び、スナップ写真を中心に撮り続けている。
「何気ない写真も時がたつと重みが増してくる。写真とは、時間が価値を上げてくれるものだと思っている」と語る。
秋には羽島市で個展を開く計画を進めている。「自分の原点であり、懐かしい場所。ぜひ、ふるさとで作品展を開きたい」と話す。千葉市在住。78歳。