約3000本あるワインセラー。「客同士をつなげるのが好き」と話す平雄次さん=東京都世田谷区三軒茶屋、イル・キアッソ

寝袋一つ、本場で修業

 東京・三軒茶屋で「イル・キアッソ」など2店、銀座で1店のイタリア料理店を経営。「特に銀座で10年やってこれた経験は大きい」。更新期の今年は新たな店舗戦略を練る。

 岐阜市出身。高校を3年で中退した。「目標もなく辞めるなら出て行け」。父の怒声を背に、名古屋で住み込みのアルバイト生活を始めた。

 バイト先でイタリア料理に興味を持ったが、周囲に深く学んだ人がいない。「じゃあ自分で行くか」。シンプルな決断だった。

 2年で300万円をため、現地の料理学校に手続き。言葉を身に付けるため入学の数カ月前にイタリアへ渡った。持ち物は寝袋だけ。ヒッチハイクで仕事を探して回り、ぬれたドラム缶で眠った。

 ある時、ベンチで寝ていると男性がカプチーノをくれた。「大丈夫か」。言葉は分からないが、優しい目がそう言った。「あの味は絶対に忘れない」。飲食業で身を立てる決意が深まった。

 料理学校を含め1年半を過ごした。帰国後はイタリアンを食べ歩き、たどり着いたのが三軒茶屋の店。後に経営を引き継いだ。「気楽にわいわい楽しめる店にしたい」。休日はキックボクシングやフットサルに汗を流す。世田谷区在住。38歳。

(岐阜新聞 2017年6月15日掲載)