お盆時期の台風7号の影響で、全国各地が大雨に見舞われた。関市板取では、24時間雨量が観測史上最多の331・5ミリを記録した。県内の被害は床上・床下合わせて58棟が浸水。美濃市内では、市道橋の一部崩落や複数の林道で路側崩壊などの被害が発生した。甚大化する自然災害に対して、どう対応すべきか。改めて防災との向き合い方が問われている。30年以内に起こる確率が70~80%とされる南海トラフ巨大地震も懸念される。そこで岐阜大地域減災研究センターの村岡治道特任准教授に、有効な防災対策について聞いた。また、中学生ながら防災士の資格を取得した林宏瞭(ひろあき)さんの活動についても紹介する。
災害への対応、後輩に授業
中学生防災士・林さん 本巣市・根尾学園8年

義務教育学校「根尾学園」(本巣市根尾神所)8年生の林宏瞭さんは、7年生時の8月に防災士の資格を取得した。父親が消防士で「自分も人を助けることをしたい」との思いで挑戦。一般的には社会人や大学生が受ける専門的な資格で、中学生にとっては難関とされる試験に見事合格した。
水鳥地区で生まれ育った林さんは曽祖父が濃尾地震の被災者で、当時の話を母親から聞き、地震への備えの重要性を痛感。防災士を目指すきっかけの一つになった。昨年、同市根尾水鳥の根尾谷地震断層観察館で、当時の甚大な被害が伝わる写真や被災者の経験談などを見て「地域のために自分ができることや、身近な生活用品を使った簡単な防災対策をしなければ」と痛感した。

防災士の資格取得に向けた第一歩として、オンラインで岐阜大地域減災研究センターの村岡治道特任准教授の指導を一対一で受け、地震発生時の対応などを学んだ。岐阜大で2日間行われた防災講座も受講し、理解を深めた。今月には「本巣市ジュニア防災リーダー養成講座」を受講した。資格取得までの過程を、林さんは「続けていくうちに新たな発見があって防災への関心が深まり、充実していた」と目を輝かす。
防災士の資格を取得したことで「自分が得た防災の知識やノウハウを周囲の人にも伝えたい」という気持ちが芽生えた。家族と防災について話す機会が増え、事前の備えとして家具の固定を行った。また、防災を通じて近所付き合いの大切さにも気付き、普段からあいさつをするなどして親交を深め、顔が見える関係を築くことを意識するようになった。

学校で後輩たちに防災について教えることも経験。家具の固定については、何もしないのとで揺れが全然違うことを模型を使って実演してみせた。携帯浄水器を使って泥水を真水に変える実験では、後輩たちの目がくぎ付けになった。
防災グッズとして、ラップにはさまざまな使用法があることも紹介。くしゃくしゃにすればスポンジになり、ねじると強度が増して腕を骨折した際には巻いて固定する道具になることを教えた。後輩たちに「家に帰ってからやってみたい」と言われ、手応えを実感した。林さんは「防災を理解してもらうことを意識して、多くの人と情報を共有することを大切にしていきたい」と話す。