要介護認定を受けても、住み慣れた自宅でできる限り長く暮らしたい-。この気持ちを叶えるため、同居や近居の家族にサポートしてもらっている方もいるでしょうが、介護に携わる家族が、肉体的、精神的な疲労を強く感じてしまっている状態であるなら、望ましい状態とは言えません。

 そこで言われているのが「レスパイトケア」の重要性。レスパイトとは「小休止」を意味する言葉で、自宅で介護を受けている方が、ショートステイやデイサービス等を利用することで、介護に当たっている家族が一時的に介護から離れた時間を作ることができます。うまく活用することこそが、住み慣れた自宅での暮らしの継続につながっていきます。

 今回は、ショートステイとデイサービスのそれぞれのセンター長に、在宅での暮らしを支える思いについてうかがいました。

瑞穂くつろぎショートステイの山田英二センター長の思い

1泊2日の利用であっても「普段の生活」が送れるよう一人一人の思いや状況を把握してケアに生かす山田英二センター長

 7年前にこの場所にショートステイが出来て、開設準備から携わり、地域に根ざした介護・看護の提供をしてきました。私たちは自宅と同じような「普段の生活」を施設でも送っていただきたいと思っています。普段の生活とは、私たちが自宅で生活している当たり前の暮らしです。やりたいことや寝る時間等を自分で決められる生活です。

 多くの方は「介護施設になんて入りたくない」と思っているでしょう。しかし家族に迷惑をかけたくないという気持ちから、諦めて利用される方も少なくありません。

 今までの介護経験の中で、利用者の中であまり話さず、本音を言われない方がいました。しかし、その方とテレビを見ていたら「昔、息子と食べに行ったラーメンが食べたいな」とつぶやかれ、これをチャンスと思い、ラーメンを食べに行く計画を一緒にすることに。そして計画の段階で、今度は「夫が眠るお墓に行きたい」と言われ行くことにしました。そして当日、墓前についた途端に「ここに次来るのは自分が死んでからだと思っていた。生きて来られるとは思っていなかった」と手を合わせて大粒の涙を流されました。帰り道、「これまで言っても無駄だと思っていた。けど言ってもいいんやね」と話してくれました。その後は自分の思いを言ってくれるようになり、変わっていくのが分かりました。

 私たちは、普段の生活を送ってもらうために何が出来るかを考え、その方に合わせた専門的支援を提供することが、在宅での暮らしの継続につながると考えています。

瑞穂くつろぎデイサービスの髙田祥尚センター長の思い

理学療法士としての経験を生かし、利用者のリハビリに力を入れる髙田祥尚センター長

 地域に住むお元気な利用者が多いこともあり、ご本人に「選んでもらうこと」を重視しています。介護度が上がると介護者が選びがちになりますし、認知症が進行すれば選ぶこと自体が難しくなっていくからです。

 私は理学療法士として病院やクリニックなどで働いてきました。当施設は昨年7月にデイケアからデイサービスへ新たに生まれ変わりました。理学療法士は私を含めて3人いますので、この強みを生かし、自宅での生活が続けられるようリハビリに力を入れています。

 デイサービスになったことで、レクリエーションにはこれまで以上に力を入れています。新たに始めた、旅行会社主催のオンライン旅行を活用した「旅行レク」は大人気です。コロナ禍だから行けないのは皆同じ。そんな中でも行った気分になれるので、前向きな気持ちにつながっている様子です。

 また、理学療法士という専門性を生かし、「リハレク」の機会も設けています。誤嚥(ごえん)や認知症などとテーマを決め、持ち回りで話しています。これからもいろいろな視点でレクに取り組み、身体機能の維持・向上につなげ、ひいては地域での暮らしの継続のサポートにつなげていきたいです。