元・化学メーカー開発職

井戸田和也さん(美和の里・美濃市)

 大学院を出てからは化学メーカーで製品開発をしていましたが、仕事に慣れた頃にリーマン・ショックが起こりました。業績が傾き、会社側からコストカット等を求められる中で、何のために苦労して働いているのだろうかという気持ちがよぎるようになりました。

 同じ時期、弱者支援の必要性が社会問題になりつつあったことから、福祉業界に興味を持つようになりました。何か力になりたいと思ったものの、実務には不安を感じたため、相談業務に従事することを視野に入れて社会福祉士の資格が目指せる専門学校に入学しました。学校に通いながら特別養護老人ホームなどで介護職のアルバイトをしたことが縁で、結局は介護職員として歩んでいくことにしました。介護福祉士国家資格は働きながら取得しました。

 前職と介護職はもちろん異なりますが、研究対象に向き合い続けることと、利用者を日々観察し続けて問題点を見極めることは、共通点があると思います。転職して10年ほどがたちましたが、今でも試行錯誤する中で利用者の状態が少しでも良くなるとうれしいですし、私のケアに対して「ありがとう」と言ってもらえると元気になれます。

 介護職を始めてからずっと、「自分が利用者だったらどういうケアを望むだろうか」ということを第一に考えています。その中で、5年ほど前からは利用者にとって空気のような存在になることを目指しています。利用者の中には介護職員がいろいろなケアをすることに対し、気兼ねしてしまう方もいます。私たちを「いないもの」としてくつろいでいただけたら一番いいのではと思っています。どれだけ黒子になれるかが課題。黒子として利用者の生活に寄り添っていきたいですね。