片山財務相(右から4人目)に建議を手渡す、財政審の十倉雅和会長(左から4人目)=2日午前、財務省(財務省提供)

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会は2日、2026年度当初予算編成に向けた建議(意見書)を取りまとめた。日銀の利上げによって「金利ある世界」が再来する中、財政規律の指標となる基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の状況を確認し、毎年度の財政運営に臨むことが重要だと指摘した。

 PBは社会保障などの経費を国債発行に頼らず税収などで賄えているかを示す。政府は25〜26年度にPBを黒字化する目標を掲げてきたが、高市早苗首相は単年度の黒字化目標の撤廃を検討すると表明している。財政審は市場からの財政運営への信認を確実なものにするため、歳出改革など政府としてコントロールできる取り組みを続けることが重要だとしている。

 財政審分科会の増田寛也会長代理(野村総合研究所顧問)は記者会見で「PBの状況を確認するのは予算編成の基本だ」と述べた。

 建議は、社会保険料の負担増が家計を圧迫しているとし、診療報酬の適正化などを通じて「現役世代の重い保険料負担を最大限抑制することが不可欠だ」とも言及した。