インタビューに答える将棋の福間香奈女流六冠

 現役トップの実績を誇る女流棋界の第一人者が、妊娠・出産に伴う制度の改善に向け初めて声を上げた。昨年第1子を出産し、来年には女性初のプロ棋士に再び挑戦する福間香奈女流六冠(33)は「安心して将棋に向かうため、対立ではなく議論を尽くしたい」と期待を語る。

 妊娠が分かったのは昨年4月。喜びと同時に、タイトル防衛戦をどうするかの不安に襲われた。明確なルールや、参考になる過去の事例が見当たらなかったためだ。

 自身が防衛側となった女流王座戦(5番勝負)第2局は産後の今年2月下旬に延期されたものの、挑戦者の立場だった白玲戦と女流王将戦は不戦敗に。目の前の1勝を追い求めてきた勝負師にとって、タイトルへの道が絶たれ、「負けが生涯残り続けてしまう」ことの落胆は大きかった。

 自身も所属する「女流棋士会」は昨年、1974年の創設から50年を迎え、当初一つしかなかったタイトルは八つにまで増えた。自身も母親となった今「今後女流棋士を目指す子どもたちが、将棋を諦めなくてもいい環境になってほしい」。