オグリの里

遅咲き、異色の30代騎手たち

写真:グレイトデピュティで重賞初勝利を飾り、東海ダービーにも挑んだ島崎和也騎手

グレイトデピュティで重賞初勝利を飾り、東海ダービーにも挑んだ島崎和也騎手

プロ野球選手は、年齢的には「28歳ぐらいが全盛期」といわれた時代があったが、最近では選手寿命が延び、40代で現役続行のプレーヤーも増えてきた。ジョッキーはどうか。体力、技術的にもピークを迎えて、活躍が華々しい世代は、やはり30代だろう。中央競馬のリーディング上位20人を見てみても、戸崎圭太騎手やミルコ・デムーロ騎手ら12人が30代だ。

 笠松競馬では、騎手15人のうち9人が30代。この3年間では、トップジョッキーに成長した佐藤友則騎手と吉井友彦騎手がリーディングに輝いているが、30代には移籍組や遅咲きの苦労人も多く、個性派がそろっている。今回は、そんな笠松の中堅騎手たちに注目してみた。

 地元出身の島崎和也騎手(柴田高志厩舎)は32歳の誕生日を迎えたばかり。本命馬に騎乗する機会は多くないが、波乱含みのレースではよく大穴馬券に絡んでくれる。デビュー15年目の今年3月、自厩舎の牡3歳グレイトデピュティで、名古屋の第1回中京ペガスターカップを制覇。うれしい重賞初勝利となった。2月の通算300勝達成セレモニーでは「初重賞を取りたい」と宣言しており、夢がかなった。

写真:ライスエイトで笠松移籍後の重賞初制覇を果たした池田敏樹騎手

ライスエイトで笠松移籍後の重賞初制覇を果たした池田敏樹騎手

 グレイトデピュティは、東海ダービーで笠松勢最先着の4着、金沢のMRO金賞でも3着と力のあるところを見せた。東海地区3冠レースの「岐阜金賞」(10月13日・笠松)に出走するなら、思い切った騎乗で大駆けを期待したい。島崎騎手にとって、重賞制覇は大きな自信になったはずで、各地の交流重賞でも存在感を示していきたい。

 池田敏樹騎手(栗本陽一厩舎)は広島県出身の33歳。廃止になった福山競馬時代には、2003年にNAR優秀新人騎手賞を受賞。重賞は福山ダービーなど9勝を挙げ、輝かしい足跡を残してきた。新天地を求めて13年に笠松へ移籍。毎年50〜60勝を挙げ、今夏の金沢スプリントカップでは、ライスエイトで鮮やかに逃げ切り、移籍後初の重賞勝利を飾った。福山より馬場が広くて乗りやすく、ファンにもよく声を掛けてもらっているそうで、今では笠松にどっぷりのようだ。地方通算1000勝の大台達成も近い。

写真:タッチデュールで重賞2勝を飾っている大原浩司騎手。オータムカップでもコンビを組んだ

タッチデュールで重賞2勝を飾っている大原浩司騎手。オータムカップでもコンビを組んだ

 大原浩司騎手(山中輝久厩舎)は三重県出身の37歳。エレーヌ、トウホクビジンに続く「鉄の女」とも呼ばれるタッチデュール(牝8歳)とは縁が深い。11年の笠松デビュー時から騎乗し、ジュニアクラウン、プリンセス特別(現ラブミーチャン記念)の重賞2レースを制覇。これまでにJBCクラシックに挑戦するなど、全国の重賞レースを中心に165戦を駆け抜けてきたタフな馬。大原騎手は、今年のオータムカップでもコンビを組んで9着に終わったが、地元レースでもうひと花咲かせてほしい。チャンスがあれば、他の馬でも久々の重賞制覇を果たしたい。

 山下雅之騎手(川嶋弘吉厩舎)は、京都府出身の33歳。異色の経歴の持ち主で、デビューは29歳と遅かった。中学時代には乗馬クラブに通い、同じく京都府出身の吉井騎手とも一緒に習った。JRAや地方競馬の騎手学校の試験は不合格となり、園田での厩務員のほか、建築や営業の仕事もこなしたが、騎手になる夢は捨てなかった。

写真:楽天競馬賞を勝利し、喜びの山下雅之騎手と「競馬大使」の津田麻莉奈さん

楽天競馬賞を勝利し、喜びの山下雅之騎手と「競馬大使」の津田麻莉奈さん

 その後、笠松で活躍していた吉井騎手と連絡を取り、後藤保厩舎で厩務員として働いた。騎手学校には行けなかったが、調教経験やゲート練習を実らせて、地方競馬騎手試験に一発合格。デビュー日に勝利を挙げる幸先の良いスタートを切った。まだ重賞勝ちはないが、昨秋の楽天競馬賞では、サンダルエチケットで勝利。地方競馬盛り上げ役でもある「競馬大使」の津田麻莉奈さんと、楽しいポーズも決めていた。

 園田の松本剛志騎手は38歳。笠松では、半年間の期間限定騎乗中(10月まで)で、加藤幸保厩舎に所属。21勝を挙げた昨年に続き2度目の参戦となった。歓迎セレモニーでは「笠松の馬場にも慣れてきて、2桁は勝ちたい」と笑顔を見せていたが、今年も9月前半までに24勝を挙げる躍進ぶり。昨秋の岩手(期間限定騎乗)ではジュニアグランプリ(ダズンフラワーに騎乗)で重賞初制覇を達成。勝てる馬での騎乗機会を求めて、全国を渡り歩く騎手生活が向いているようだ。

写真:園田から笠松へ。期間限定騎乗の歓迎セレモニーで笑顔の松本剛志騎手(笠松競馬提供)

園田から笠松へ。期間限定騎乗の歓迎セレモニーで笑顔の松本剛志騎手(笠松競馬提供)

 騎手という職業は、やはり「馬に乗ってなんぼ」であり、1レースごとの騎乗手当も大切な収入源。馬主や調教師の信頼を得て声を掛けてもらい、どれだけ多くの馬に騎乗できるかがポイント。笠松の騎手たちは連日、午前1〜2時から馬にまたがり、20頭以上の調教に励んでいるという。それぞれの馬の癖を知り、能力を引き出す地道な努力こそが、本番での騎乗依頼にもつながり、一人一人がモチベーションを高めている。

 同年代で仲も良く、お互い腕を競い合う笠松の30代騎手たち。目標はそれぞれで、年間50勝以上を挙げることや、笠松所属馬での中央レース参戦も大きな夢という。少数精鋭で磨いてきた騎乗技術は高い。地元で勝利を積み重ね、交流重賞など全国レベルでの活躍につなげたい。

 

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筆者プロフィール

【ハヤヒデ】
80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。