メディアばこ

ロハスライフプロジェクト 2020 10月

2020年10月23日 12:00

健康をつくることは、人生をもっと豊かにする。

日本人の糖尿病を取り巻く状況は、どのように変化していますか?

肥満でなくても発症する人が増加

 糖尿病は、血液中に糖があふれるような状態が長く続くことで、ややもすると、透析や失明、足切断にいたる病気です。糖を効率よく利用するために必要なインスリンという物質の働きが弱くなることで発症します。患者数は約20年間に全国で111万人、岐阜県も約2万6,000人増加しています。図1

 日本人は元々インスリンをつくる力が弱いうえ、近年、脂を多く含む食事をとり、車などの利用で運動量が減ったため、体脂肪、特にインスリンの働きを弱める内臓脂肪が少し増え、太っていなくても糖尿病を発症する人が激増しています。特定健診等で血糖値や1~2ヵ月の血糖値の平均値とされるHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)に異常があれば、特定保健指導等を活用して食事や運動について正しく学び、実践することで糖尿病を予防してください。

 ひとたび糖尿病を発症しても、健康的な食事や運動を実践し、必要に応じて飲み薬や注射を用いて治療を続けることで、透析や失明にいたる合併症を予防できます。全国では約1万6,000人、岐阜県でも約250人が糖尿病から透析導入となり深刻な問題です。県下で進められる糖尿病性腎症重症化予防プログラム等を通して、糖尿病やその合併症について理解を深め、かかりつけ医のもと適切な治療を継続してください。

糖尿病患者は、サルコペニアに特に注意

 今年の全国糖尿病週間(11月9〜15日)の標語は、「筋肉量 コツコツ積み上げ 健康長寿」です。百寿者が7万人を超える超高齢社会を迎え、筋肉がやせ細り、転倒や誤嚥などを生じやすくなるサルコペニアが問題となっています。特に糖尿病ではインスリンの働きが弱いため筋肉をつくるために必要なたんぱく質も効率よく利用できず、サルコペニアになりやすいです。

 予防には、適切な量の食事(特にたんぱく質を含む食事)と筋肉を増やす運動と共に糖尿病の治療を続けることが肝心です。岐阜県ではかかりつけ医と病院の連携が進んでいて食事・運動に関する専門的な知識を学べる体制も整っています。糖尿病に造詣の深い日本糖尿病協会療養指導医の資格を持つかかりつけ医や糖尿病療養指導士(CDEJ、CDE岐阜)が多数いるのも強みです。80代、90代まで元気に長生きしている方が大勢います。一病息災と前向きに考えて「貯筋」に取り組んでいきましょう。

コロナ感染リスクは同等。ただ重症化に注意

 新型コロナウイルスの拡大を受け、感染を心配される患者さんやご家族も少なくありません。中国や米国では感染者に占める糖尿病患者の割合は約10%と一般人口に占める糖尿病患者の割合と同等で、糖尿病だから新型コロナに感染しやすいことはありません。ただし、適切な治療を受けず血糖値が高いまま放置していると免疫力が低下し、重症化しやすいことを指摘する中国の研究データもあります。

 新型コロナに限らず、インフルエンザや肺炎など感染症が重症化しないよう、日ごろから治療に励んでいただきたいと思います。新型コロナが怖く、通院やウオーキングを自粛する方も多いとうかがいますが、日本糖尿病協会等から発信される情報を参考に、正しく恐れて治療中断のないようにしましょう。

糖尿病の発症予防や重症化予防に大切なことは何ですか?

コロナ禍で多くの方の状態が変化

 新型コロナ緊急事態宣言発令後、受診控えの方が2割ぐらいいました。しかし、糖尿病はHbA1cや血糖等の採血検査をしないとコントロール状態がわかりません。日常生活では、在宅勤務となった、ジムを休会したなど、運動不足が患者さんたち共通の変化です。さらに、外出自粛でストレスがたまる、間食の増加などで肥り、血糖コントロールが悪化する傾向がみられます。また同時に、患者さんの多くは、この数ヶ月での足腰の筋力低下を自覚しています。一方、外での飲食の機会が減り、数kg減量できてコントロールが改善した方や、在宅勤務のおかげで規則正しい食生活となり、かえって健康的になった、さらには仕事のストレスが減少し精神的にも快調という方もいます。

自己管理に糖尿病連携手帳を活用

 前述のように、患者さんたちはどんな生活が自分の健康に影響を与えるのかを体重やHbA1c値の変動からあらためて理解し納得された印象があります。当院では「糖尿病連携手帳」を糖尿病患者さん全員に配布し、診察時には毎月の検査値を記録して、一緒に変化の理由を考えます。糖尿病の管理は、血管合併症を予防するという目的があり、血糖のみでなく、危険因子として、脂質・血圧・肥満・喫煙が含まれます。規則正しい栄養バランスのとれた食生活と、適度な運動が治療の基本ですが、自己管理の一助として、毎日の体重測定グラフ化・1日の歩数・イベント(外食など)の有無等の記録をつけることを勧めています。これらを継続するだけでおのずと自己管理の実践につながり、減量に成功し、すべての代謝コントロールが改善する方もあります。

 糖尿病連携手帳 検査値や治療内容、合併症の検査所見などが記録でき、地域連携として、病診連携の役割を担う手帳です。

多くの職種・診療科で治療を支える

 糖尿病は、失明や人工透析などの糖尿病合併症や、心筋梗塞・脳梗塞など糖尿病に併発しやすい種々の疾患の発症や重症化を予防し、健康な人と変わらない人生を送ることが治療の目標です。そのため、より早期に発見すること、そして中断することなく生涯にわたる治療継続が必要ですが、糖尿病ほど、患者さん自身の自己管理を必要とし、また患者さんをサポートするチームとして、多くの職種・診療科と関わる疾患はありません。かかりつけ医の他、専門医・薬剤師・管理栄養士・看護師・保健師・ケアマネージャーなどとの多職種連携、教育入院やより専門治療を行う基幹病院、眼科・歯科、循環器内科・脳神経外科・腎臓内科など関連する診療科との病診・診診連携が必要となります。かかりつけ医は、糖尿病の早期診断と治療継続をするとともに、連携先を紹介する「羅針盤」であり、他職種・関連診療科との連携の「扇の要」の役割をにないます。是非かかりつけ医を持っていただきたいと思います。

 糖尿病による新規人工透析患者数が増加する現在、糖尿病患者さんを早期に発見し受診につなげることで、糖尿病による透析導入患者数が減少し、医療費の適正化につながることが期待されています。県下で進められている「糖尿病性腎症重症化予防事業」では、特定健診の結果で糖尿病が疑われる方に、行政の保健師さんが「糖尿病連携手帳」を渡して保健指導を行い、受診勧奨をします。この手帳を医療機関で提示していただくことで、情報共有・医療連携が簡便となります。まずは特定健診を受けていただくこと、そして、この手帳の活用で行政とより多くの医療機関とで、顔の見える地域ぐるみの糖尿病対策が円滑にすすむことを期待しています。


 県では、働き盛りの従業員の健康づくりを推進するため、平成30年9月に「清流の国ぎふ健康経営推進事業」を創設し、県内の企業による従業員の健康に配慮した経営を促進しています。今回から6回に分けて「清流の国ぎふ健康経営優良企業」として表彰した企業様の取組みを紹介します。

中工精機株式会社

週に一度は手作りランチ。やる気も心もワンチーム!

健康経営実践後は社員の意識変化が顕著にみられました。具体的には体重の変化があったり、禁煙宣言したり、塩分を控えた食事や野菜から食べるよう意識したり、考えて食べる取組みなど小さな事ですが、明らかに意識変化があります。精神面においても笑顔が多く、メンタルで悩む社員はおりません。チームワークで仕事に取り組む姿勢はモノ造りにおける大切なベースになっています。

 サラメシのメニューを考え、全従業員23人分の昼食を調理しているのは、工藤社長の妻で役員の靖子さん。従業員からは「栄養満点でおいしい」などと笑顔がこぼれます。

 きっかけは3年ほど前のこと。従業員の一人が転職を考えていた時期で、工藤社長はどのように慰留したらいいか悩んでいたと言います。そんな時、料理好きな靖子さんがサラメシを発案。工藤社長は「長年柔道をやっていた妻は、先輩後輩と同じ釜の飯を食べて厳しい練習に耐えてきたことから、一緒に食べることの大切さを実感していたそうです」と話します。好評だったため1年後には本格的なキッチンを設置しました。

 メニューは、カレーや麻婆豆腐などとさまざまで、肉は煮込む前に焼いて油を落としたり野菜をたっぷり使ったりとヘルシーで栄養満点になるよう工夫。普段、従業員は宅配か持参の弁当を食べていることから工藤社長は「同じ釜の飯のおかげか、サラメシの日は会話がいつもより弾んでいる様子」と手応えを話します。

 工藤社長は「転職を考えていた従業員は残ってくれました。また、別の従業員の友達が入社してくれたのですが、誘う時にサラメシのことも話してくれたようです。経費はかかりますが、メリットはそれ以上。食事の力も借りて、従業員に『中工精機はいいな』と遺伝子レベルまで思ってもらいたい」。靖子さんも「好きでやっていることなので、負担は感じていません。これからも続けていきたい」と笑顔を見せます。


岐阜県では清流の国ぎふ健康ポイント事業を通して、県民の健康づくりの取組みを促進し、健(検)診受診率の向上や運動習慣の定着を図ることなどにより、生活習慣病予防や感染症予防につなげたいと考えています。今回の【市町村テーマ別】健康づくりチャレンジ月間は、各市町村が決めたテーマの取組みを1ヶ月間実施していただくものです。

テーマの内容は体重や血圧等自己の状況を把握するものや、野菜摂取を多くするなどの食生活の改善、ウォーキングや体操などの運動を行うものになっています。

これを機に身近な取組みから家族や友人等と一緒に取り組んでみましょう!


世界糖尿病デー.jpg

©2017日本高血圧学会

続きを読む