メディアばこ
vol.3 20代から考える不妊
わたしのキャンパスプロジェクト

 

 現代社会では女性の大学進学率向上や社会進出に伴って晩婚化が進み、不妊に悩む夫婦が増加しています。同時に不妊治療を始める人も増え、2015年には全出生児の約 20人に 1人が不妊治療によって産まれました。男女ともに生き方の選択肢が増えている今、不妊は珍しい話題ではなく、ライフプランを立てる上で考慮しておかなければならない項目の一つとなっています。今回は花林レディースクリニックの花林隆裕院長に、20代が知っておくべき不妊とその予防についてのお話を伺いました。

 

不妊の定義

 日本産婦人科学会によれば、「不妊」とは妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性生活を営んでいるにもかかわらず、一定期間(一般的には1年)妊娠しないことを指しています。通常、健康な夫婦であれば、避妊しない限り1年以内に80%、2年以内では90%の確率で妊娠するといわれています。

 

 20代は仕事や学業で精一杯で、妊娠・出産はまだ先のことと考えている方も多いと思います。しかし、5~10年すれば自分事として考えるようになる方もいるのではないでしょうか。不妊を知る上できちんと理解しておきたいのが、妊娠が成立するまでの過程です。

 妊娠するにはまず膣内に精子が射精され、精子は子宮から卵管の膨大部に移行します。一方卵子は、卵巣から排卵され、卵管の先端から卵管膨大部に移行して精子と出会い受精します。受精した卵は子宮に移行し子宮の内膜に着床して赤ちゃんが育ちます。(図1)

 この過程のうちいずれか1つでも阻害されると妊娠することはできません。

 

 

 不妊の原因は男性側にも女性側にも認められています。WHOの調査によれば、不妊の原因が男性側にある場合は48%、女性側が65%、男女共は24%と言われています。(図2)

 

 

 不妊の原因を作らないために、まず男女とも注意すべきは性病です。クラミジアや淋菌感染では精子の通り道に炎症が起き精子が通りづらくなったり、卵管が詰まって妊娠できなくなったりします。性交をしなくても口を使って性器を刺激すると、口を介して相手を性病に感染させてしまうことがあります。その他、人工妊娠中絶を繰り返すことも妊娠に悪い影響を及ぼします。

 また、生理不順にも気を付けるべきです。20代女性はその半数が生理不順です。生理が3ヵ月以上開くと十分な女性ホルモンが卵巣より出ていないため子宮が小さくなり、排卵もないため不妊となります。

 月経痛や月経過多の症状がみられる場合は、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫のおそれがあります。これらの疾病も不妊症の原因になりうるため、月経に異常が見られた場合は早期に検査・治療を受けて、病状を悪化させないことが重要です。特に子宮筋腫は妊娠・出産にも影響し、流早産や帝王切開の原因となります。

 

 

 最近、妊娠初回検査で初期の子宮頸がんが見つかるケースが多くなりました。治療にあたって妊娠を中断したり、子宮を切除することはありませんが、子宮の口を削る手術が必要となります。

 子宮がん検診を受けることは、早期に子宮頸がんを発見するだけではなく、不妊の原因となる他の疾病や性病の発見にもつながります。費用の一部もしくは全額を公費で負担しており、無料でもしくは低額で受診可能です。性病検査のみの場合は、男性は泌尿器科、女性は婦人科で受けられます。

 すぐの妊娠を希望していない場合でも、妊娠・出産する日に備えて検診をしっかり受け、まずは妊娠可能な体にしておくことが重要です。また、妊娠を希望していない場合は、性交の時は男性はコンドーム、女性は避妊用ピルやセックスの72時間以内に内服する緊急避妊用ピルを適切に使用してください。

 

 

○ タイミング法
 最も妊娠しやすいと言われている、排卵の2日前ごろに合わせて性交する方法です。

 

○ 排卵誘発法
 無排卵など排卵障害がある場合、人工受精の妊娠率を上げるため内服薬や注射で排卵を促します。

 

○ 人工授精
 採取した精子から良好な精子を取り出し洗浄・濃縮し、最も妊娠しやすい時期に子宮内に注入します。しかし、男性の精子が極端に少なかったり、女性側が精子に抗体を持っていたり、卵管閉鎖などの場合は、次のような方法をとります。(図3)

 

 

Oさんご夫妻

岐阜市在住。5年間の不妊治療期間を経て、体外受精で妊娠した第1子が今年5月に誕生。

 

 治療を開始した当時、夫婦共に30代と自然妊娠の可能性のある年齢だったため、まさか何年間も治療を続けることになるとは思いもしませんでした。終わりの見えない治療に体力的にも精神的にも疲弊していく中、悩みや不安を解消する上で大きな支えとなったのが病院の医師やスタッフの存在でした。

 友人に話しづらい話題だけに2人で不安を抱えがちな不妊治療ですが、まずは専門家に相談してみてほしいです。また不妊治療は夫婦2人の協力が必須。早期に治療を始めるためにも、男性にも産婦人科へ足を運んでほしいです。

 

 

主催 岐阜新聞社

後援 岐阜県 岐阜市 岐阜県医師会 岐阜市医師会 岐阜県産婦人科医会 岐阜市産婦人科医会 岐阜県看護協会 岐阜県商工会議所連合会

 

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