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言語聴覚士とは? 笑顔つなぐ福祉のわ
福祉の仕事ファイル

2020年09月15日 11:56

 事故や病気による失語症など原因で、コミュニケーションを取ることが困難になった方、食事がうまく摂れなくなった方、耳の聞こえが低下した方の機能回復や、言葉の発達の遅れや吃音症などのある子どものリハビリのお手伝いをし、その方らしい生活が送れるよう、高い専門性を元に支援しているのが言語聴覚士です。

 子どもから高齢者まで支援相手はさまざまで、勤務先は総合病院やリハビリ病院が主ですが、介護施設や療育施設、特別支援学校などで働く方もいます。言語聴覚士になるには、大学や専門学校などの養成施設で3年以上学び、国家試験に合格することが必要です。

言語聴覚士の仕事について、サンビレッジ国際医療福祉専門学校(通称サンビ校)の教員森和歌子さんに聞いてみましょう。

言語聴覚士森さん.jpg-言語聴覚学科の教員になったきっかけは。

 子どもの頃から音楽が大好きでした。特技のピアノを生かせる仕事に就きたいと考えていたとき、音楽を使ったリハビリができる言語聴覚士の仕事を知り、興味を持ったので県外の大学に進んで資格を取ることにしました。

 卒業後は病院や老人保健施設で働いていたのですが、勤務先にサンビ校の学生が実習に来たことをきっかけに、サンビ校について詳しく知りました。サンビ校は複数の福祉施設を運営している社会福祉法人が設立した学校ということで、学生は1年生の時から現場でさまざまな経験を積んでいます。そのため、患者への振る舞いや学ぶ姿勢が一味違ったことが印象的で、教員として教えてみたいと思い、縁あって12年前に教員としてのスタートを切りました。

-言語聴覚士の仕事内容ややりがいは。

 話す、食べる、聞くという動作は、できている時は「当たり前」のことと認識されている分野なのではと思います。その分、病気やけがをきっかけに、言われたことを理解できているのに返す言葉が出てこなくなる、簡単な漢字が書けなくなるなどの変化が起こると、大きな精神的ダメージを受けることになります。訓練の様子を家族に見られたくないという方も珍しくないほどです。

 コミュニケーションがこれまでのように取れなくなって打ちひしがれている方に対し、検査結果を基にコミュニケーションの取りやすい方法を考えることができる、また飲み込みの障がいがある方が再びご飯を食べられるように訓練メニューを考えるのが言語聴覚士です。

 内容は、舌がしっかりと動くようにするトレーニングや、絵カードなどを使って言葉以外の手段で気持ちを伝えられるようにするなどさまざまです。自身の考えが伝えられなくて悩んでいる方に寄り添い、本人が伝えたいことがわかったとき、「わかってくれてうれしい」とほっとした顔を見せてくださったときが一番うれしい瞬間です。

-学生を指導する際に気を付けていることは。

 言語聴覚士の仕事は、相手に寄り添う気持ち、理解しようとする気持ちが必要です。ただ、専門職として、高度な知識、技術が不可欠なのはもちろんのことで、「優しい」だけでは務まりません。知識、技術が備わった上で、理解しようする気持ちを持った、地域で活躍できる人材を育成したいです。
また、国家試験に全員が受かるよう、暗記ではなく思考・理解を重視する教育を心掛けています。国家試験の合格率は、全国平均で例年6割台です。サンビ校の合格率は8割台ですので、平均よりは高い数値ですが、本年度こそ、全員に合格してもらいたいですね。

-言語聴覚士を目指す方に一言。

 首から上のスペシャリストと言われていますが、全身についての知識も必要です。また、言葉の成り立ち、日本語の成り立ち、発声の仕組み、失語症や吃音症などの病気のことなど多くのことを学ばないといけません。勉強は大変ですが、その分、専門性が高くやりがいのある仕事です。
言語聴覚士は、病院や介護施設、療育の現場などでの需要は増え続ける一方、資格保有者が少ないため、専門性を生かして活躍するチャンスはいくらでもあります。興味がある方はぜひ目指してみてくださいね。