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理学療法士とは? 笑顔つなぐ福祉のわ

福祉の仕事ファイル



 病院や福祉施設などに勤務し、病気やけがなどにより、立ち上がる、起き上がる、歩くなどの日常生活を送る上で必要な基本動作が難しくなった方の運動機能の改善や維持を目指してリハビリメニューを考え、サポートするのが理学療法士です。

 混同されやすい仕事に作業療法士があります。作業療法士は、食事をする、字を書く、趣味のパズルをするなどの応用動作の回復を目的としているほか、うつ病や摂食障害などの精神障害の患者も対象としています。

 理学療法士になるには、大学や専門学校などの養成校で3年以上学び、国家試験に合格することが必要です。

理学療法士の仕事ややりがいについて、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「ライフ・ネット長良」の吉田裕成さんに詳しく聞いてみましょう。

ライフネット吉田さん.jpg-理学療法士になったきっかけは。

 子どもの頃はひたすら野球に打ち込んでいました。岐阜城北高校でも野球部に入り、藤田明宏監督の下で引退まで続けました。引退後、進学か就職かで悩んでいた時、看護師をしている母親から理学療法士という仕事があることを聞きました。漠然と、工場で物と向き合うよりは、人とコミュニケーションを取りながら力になれる仕事がしたいと思っていたので、軽い気持ちで「理学療法士の合格率100%」とうたっていた岐阜市内の専門学校に進むことにしました。「けがの治療でお世話になった際に憧れた」というきっかけで理学療法士を志す運動部出身者は多くいますが、私はそうではありませんでした。

 無事に進学できたのは良かったのですが、そこからが大変でした。それまで野球しかしてこなかったため、じっくりと机に向かう習慣がなく、ついていくのに必死でした。何度も退学したいと思いましたが「高校時代の野球の練習以上に大変なことはない」と思い、何とか食らい付いていくことができました。3年生になれば実習がメインになり、実習先の病院の恩師から、患者の心に入り込んでいく大切さを教えてもらい、そこでやっと理学療法士として頑張っていきたいという思いが芽生えました。

-現在の仕事内容は。

 実習でお世話になった病院で4年間働き、2013年にライフ・ネットグループが、最初の介護事業所「リハビリデイサービス折立」を開設させるのに合わせて移ってきました。今の施設では、19年のオープン時から働いています。サ高住の利用者が日中に通う、1階部分にあるデイサービス「フィジカル・デイ長良」で、体の状態が悪くならないように、また少しでも状態がよくなるにはどうしたら良いかと考えながらリハビリを提供しています。

 また、副施設長をしていますので、利用者の家族とのやり取りや、経営に関する業務も担っています。

-理学療法士の仕事のやりがいは。

 利用者は、多かれ少なかれ若い頃のように動けないストレスを抱えています。体のリハビリで改善させていくことはできますが、完全に解決させることは難しいです。ケアする際は「心のリハビリ」を意識し、いろいろなアプローチをして思いを把握し、寄り添うようにしています。簡単なことではありませんが、困っていた方がだんだん笑顔になっていくのを感じられるとうれしいです。

-今後の目標は。

 理学療法士になった人の中には、より良いケアを追究しながらずっと現場で歩んでいく方もいれば、施設の経営側に回ったり自身でデイサービスを立ち上げたりしながらリハビリの提供を続けていく人もいます。私は副施設長になった後も「リハビリを通じて利用者の力になりたい」という思いが強かったのですが、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策のため、これまで地域の方にも来ていただいていたフィジカル・デイをサ高住の利用者のみに開けることになってリハビリを提供できる機会が減り、気持ちに迷いが出ました。

 悩む中で「困っている人を助けたい」という原点に立ち返り、私が理学療法士以外の仕事のスキルを上げることで利用者や家族が幸せになれるのであれば、経営に関する業務も頑張っていかないと、という気持ちが強くなりました。

 これからは「リハビリもできる副施設長」を目指し、人と人との関わりを大切にし、利用者には安心して過ごせる、家族には安心して預けられる、職員にはずっとここで働きたいと思ってもらえる施設づくりに力を入れていきたいです。