岐阜新聞Web

  • 美濃
  • 飛騨
  • 美濃
  • 飛騨


メディアばこ

読み書き、計算への第一歩

あの遊びも、この遊びも実は…



ジョインロゴ.jpg

 ある程度の年齢になればできるようになることだと思いつつも、それでも気になってしまうのが読み書きや計算の始め時や練習の進め方。文字が書ける、計算ができる=優秀とのイメージから「少しでも早く」とついつい張り切ってしまっているパパやママもいるのでは。しかし、焦りすぎは禁物です。幼児期における文字や数の親しみ方、親しんでもらうためにパパやママができる働きかけ方について、東海学院大学短期大学部幼児教育学科の鬼頭弥生先生にお話をうかがいました。

 

 


 特に文字を書くためには、

【①視覚認知能力】
見て形を捉え記憶する能力、目で1文字ずつ追う力

【②空間認識能力】
位置関係を正確に認識する力

【③手指の巧緻性】
運筆力

が必要です。この3つの力は、少なくとも4歳程度の発達年齢が必要とされています。ただ、これらの力は4歳になった途端にいきなり備わる力ではありません。それまでに遊びを通して経験を積み重ね、芽が出る状態にしておくことが大切です。それゆえ、4歳を過ぎたからといって無理強いしてひらがなのワークに取り組むのは禁物。まずは、子どもが自ら文字に興味を持ち、文字で表現してみたいという気持ちと、3つの力を育む遊びを親子で楽しみましょう。

【①ポトンポトン遊び】
 例えばおもちゃのコインをコインの幅の細長い穴に入れるという遊びですが、コインの向きや角度を間違えると、うまく入れることができません。このような遊びは2歳前後から夢中になって取り組む姿が見られ、手指の巧緻性を高めることにつながります。タッパの蓋に子どもの好きな動物の顔を貼り、口に当たる部分をコインがギリギリ通るサイズに切って手作りできます。動物にご飯を食べさせてあげる遊びとして楽しんでみてください。

【②積み木遊び】
 ひたすら積み上げて壊すことを繰り返す子もいるでしょうが、それも大切な経験です。大きくなってくるとイメージを持って作ることができるようになり、その繰り返しが空間認識能力の向上につながります。

【③ボール遊び】
 赤ちゃんの前でボールを転がすと、目で追いかけるときがありますよね。ボールがどこに転がって行くのか、ずっと目で追うことができる力は文字を書く時の筆順の理解につながります。もちろん、投げたり転がしたりすることで腕のコントロールにつながりますし、どうしたら目標に届くのか考えることで先を見通す力をも育みます。ボール遊びは運動能力のアップに最適なだけでなく、文字を書く力にもつながっています。

 



【①音節遊び】
 文字を読むには、例えば「あり」であれば、「あ」と「り」の音を正確に聞き分ける力と2つの音から文字が成り立っていることの理解が必要です。

 紙に例えば「う」「いぬ」「こあら」「らいおん」と書き、何個のひらがながあるかを当ててもらいましょう。ひらがなの上におはじきやボタンなどを置くのも。「こあらは3つだけど、らいおんは4つ。らいおんの方が1つ多いね」などの言葉をかけることで、単語の成り立ちを理解しながら数の多少の理解にもつながります。

【②手作り絵カード遊び】
 子どもが好きな食べ物やキャラクターなどのイラストを描いたり、チラシなどから切り抜いたりして画用紙に張った絵カードを何枚か作って箱に入れます。
   ▼
 絵カードの題材に使われている文字を1文字ずつ書いたカードを2セット用意します。
   ▼
 箱の中の絵カードを引いて、「よーいどん」で出てきたものを文字で作り、早く作れた方が勝ちです。キャラクターの名前は多くがカタカナですよね。カタカナの方が読みたくなる言葉が多いのであれば、カタカナから学ばせても問題ありません。興味のある言葉・文字から始めるのがコツ。

 書くことよりも、読める文字を増やすことと他者の話を聴く力を育むことの方が大事です。そのため、読めるようになっても低学年まではぜひ読み聞かせを!語彙力・読解力を養います。

 


 時計やカレンダー、テレビのリモコン...。数字が書かれたものを意識させることが第一歩です。

【①アナログ時計】
 子どもが見やすい場所に置く時計はぜひ、アナログ時計にしてください。すぐに時間がわかるようにはならないでしょうが、「長い針が6になったらお片付けを始めよう」などと時計を見る習慣づけが肝心。数の理解はもちろん、計画性を持って動けるようになる近道にもなります。

【②日めくりカレンダー】
 日めくりカレンダーもおすすめです。めくって破ることは子どもが大好きな行為ですし、大きく1文字だけ書かれているので、月間のカレンダーと比べて目移りしません。「今日は〇月〇日だね」と声をかけながらめくることで、数字に親しむことができます。年始にはたくさんあった紙が半年も経つと半分にまで減っていて、「毎日破いたら減った」という引き算の概念も体得していきます。

【③お菓子を分けよう】
 一人っ子の場合は特に、取り合う相手がいないので、お菓子を袋のまま渡しているパパやママもいるのでは。実際に食べるかどうかはさておき、「パパやママも食べたいから分けようね」と一緒に数えながら分けることをお勧めします。分ける体験は割り算を体得していくことにつながります。

 ひらがなの習得もそうですが、子どもは体験から学び、新たな力を獲得していきます。多様な体験ができる環境を整えてあげたいですね。

【すごろくづくり】

すごろくづくりで多様な力を育もう
 数の概念や文字の獲得、先を見通す力や想像力を豊かにするなど、親子でつくるすごろく遊びは多様な力を育みます。
   ▼
 画用紙と折り紙、ペンを用意します。
   ▼
 スタートやゴール、主要なマスの位置を決めます。マスの内容を子どもと一緒に考えることで想像力がつきます。電車が好きな子どもなら「しんかんせんにのった。3マスすすむ」などと好きな言葉や興味のある事柄を入れることは、「文字を読みたい」という意欲を引き出す近道となります。
   ▼
 主要なマスとマスの間を何マスにするかも一緒に考え、数えながらマスを張っていきましょう。

 


Q 周りの子はひらがなが書けるのにうちの子はまだ。どうしても比べてしまいます...

A 男の子と女の子では脳の発達の仕方が異なり、言葉をつかさどる左脳の発達は女の子の方が速いのです(内田伸子著『子育てに「もう遅い」はありません』冨山房インターナショナルより)。発達には個人差がありますので、比べるのであれば1年前、1ヶ月前のわが子と比べてくださいね。

Q 友達に手紙をもらったけれど、返事を書きたがらないです。いとこには書くのですが...

A 言葉は共感して欲しい、伝えたいという思いから出てきます。文字も同じです。文字に興味を持ったから手紙を書くのではなく、文字で表現したい相手が見つかったから手紙を書くのです。友達よりもいとこの方が、文字で思いを表現したい相手であったということです。ひらがなを書けるようになって間もないのであれば特に「お返事を書かないと友達がかわいそうだよ」などと言って強制はしないであげてください。

Q 絵よりもひらがなを書いてほしいです...

A 例えば動物園に行った後、「印象に残った動物を描こう」と言うと、文字の習得が未熟な子どもは一生懸命、思い出して描くでしょう。絵を描く経験が乏しいまま早期に文字を習得すると、例えば思うように「ぞう」が描けなかった場合その横に文字で「ぞう」と書く子どもがいます。文字の方が「すごいね」と大人に褒められやすいこともあり、絵を描きたがらなくなる恐れがあります。絵を描くことは想像力や観察力を養い、運筆力も培います。まずは絵を描きたくなるような環境をつくり、表現したいという気持ちを育むことが大切です。