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笑顔つなぐ福祉のわ

留学生、介護学んで飛躍 笑顔つなぐ福祉のわ



中部学院大と事業所の連携事業 1期生卒業、正職員に

 2018年度に始まった、ベトナム人留学生の介護福祉士国家資格取得を中部学院大学(関市)と県内3つの介護事業者が一体となってサポートする「事業所連携型外国人受け入れ事業」。1期生12人のうち1人は1年で帰国しましたが、11人は同大学留学生別科で学んだ後、同大学短期大学部社会福祉学科に入学。今年1月には国家試験に挑み、3月に卒業、晴れて社会人としての第一歩を踏み出しました。

 同事業は、17年秋に在留資格に「介護」が追加され、介護福祉士資格を取れば日本に滞在できるようになったことをきっかけに開始。大学側は学習の支援を、事業所側は在学中のアルバイトの場の提供と生活全般の支援を行うもので、学費や滞在にかかる費用はアルバイト代や各種奨学金等などでまかないます。奨学金のうち県社会福祉協議会からの貸付は、資格取得後、県内の事業所で継続して5年間働けば返済免除となります。

 今年卒業した連携型の留学生は、5人が国家試験に合格できました(留学生全体では23人中14人が合格)。現行では介護福祉士養成施設の卒業生は、不合格となった場合でも期限付きで介護福祉士資格が与えられ、5年間介護職を続ければその後も介護福祉士として働くことができます。

 連携型の卒業生の進路は、9人は支援を受けていた事業所で正職員として就職。1人は結婚を理由に県外の施設へ、1人は支援先とは別の県内の事業所に就職しました。吉川杉生社会福祉学科長は「全員が介護の仕事に就いてくれてまずは良かった」と安心した表情を見せます。国家試験対策については「留学生でも日本人でも、一緒に勉強する仲間を見つけ、継続的に教え合うことが大切。連携型では各事業所に3、4人ずつお世話になっていたので、そういった面で強みになった」と話します。学科全体では「コロナ禍で学習ペースが遅かったが、ゼミでの国家試験の勉強会や、模擬試験で一定の点数が取れなかった学生を集めた対策講座を繰り返ししたことで、後半に一気に伸びた学生が多かった」と分析しました。

 ただ「留学生でも合格率100%を目指したい。5年働けば良いとはいえ、結婚や出産、急な帰国などで辞めることになった場合に資格が取れないのはあまりにもったいない」と、不合格となった卒業生には来年1月の再受験を勧め、模擬試験や対策講座などに参加できるよう調整を進めています。

 2年生の留学生31人の支援については、3月末に、同じ国籍の合格者に母国語で、使った教材やノートの取り方などを質問できる機会を設けました。また、今回の結果を指導につなげるため、大学側がデータ分析を進めている状況です。

 連携型は、新型コロナの影響等で現時点では留学生が入国できないなどの理由から、今後の新しい可能性を探っている状況です。吉川学科長は「日本国内にすでにいる留学生の中には介護に興味がある方もいる。今回のノウハウを、留学生を受け入れたい事業者に伝え、双方が安心できる枠組みづくりに生かしたい」としています。


◆介護福祉士に合格したトゥさんにインタビュー(フェニックスグループ・各務原市)

フェニックス・トゥさん.jpg

-国家試験合格おめでとうございます。
 ありがとうございます。3年前は日本語も介護も何もわからない状態でしたし、1年前に初めて過去問を解いたときは、今、何に関する設問を読んでいるかもわからないほど難しく感じました。模試の結果も良くありませんでしたし、本番の筆記試験の正答率は自己採点で69%と、得点調整があった場合は不合格もありうるラインで、合格を知ってやっとほっとできたという感じです。

-どのように試験対策をしましたか。
 新型コロナの影響で対面授業が減り、勉強しづらかったです。それでも授業で先生が「ここは出ますよ」と言ったところは定着させるようにしていきました。また可能な限りは学校へ行って食堂や図書館で勉強して友達と教え合いながら励みました。

-どうして日本で介護を学ぼうと思ったのですか。
 ベトナムではまだ、介護需要が高くありませんが、日本の介護の知識を得ることで、将来帰った時に何かの役に立てるのではとの思いから日本で学ぶことを選びました。

-現在の生活は。
 正職員として日本人と同じ待遇で働いています。これまでは2人のベトナム人と学校も職場も家も一緒でしたが、卒業式の日からそれぞれが一人暮らしを始めました。3人ともフェニックスに就職しましたが、職場は別で顔を合わせることは少なくなりました。

-今後の夢は。
 私は地方の出身です。地方の若者は勉強や仕事のために都会に出てしまい、高齢の親だけが残っていることが多いのが現状です。生まれ育った町でそういった高齢者を支える仕事がしたいです。

 また、授業で少し学んだ障がい児ケアにも興味があります。ベトナムでは障がいのある子は学校に通わず、家にいることが多いので、そういった子をケアする仕事も手掛けていきたいです。


◆留学生支援に携わったフェニックスグループ地域共生社会推進室の吉田理室長より
 フェニックスに来てくれた3人は意識が高く、他者への優しさや思いやりがあり、学ぶ点ばかりでした。

 トゥさんは好奇心旺盛で、現場と学校の両方で正しく学べたことが合格につながったのでしょう。努力して得た知識を生かし、さらなる夢をかなえてほしいですね。