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笑顔つなぐ福祉のわ

ベトナム人職員、高い意識で皆の手本に 笑顔つなぐ福祉のわ

EPAで来日した五常会の5人、介護福祉士に全員合格



 介護業界の人手不足に伴い、この10年ほどの間、「日本で介護の仕事をしたい」「日本の介護を学びたい」と考える外国人が活躍できるよう、さまざまな制度ができました。それに伴い、県内の福祉施設でも外国人職員を見かけることが珍しいことではなくなってきました。中津川市と瑞浪市で特別養護老人ホームなどを運営する五常会でも、経済連携協定(EPA)の制度を使って、2016年にベトナム人介護福祉士候補者の受け入れを始めました。

 EPAによる外国人介護福祉士候補者の受け入れは、インドネシアが08年から、フィリピンは09年から、そしてベトナムは14年から始まりました。国によって条件は多少異なりますが、母国の看護大学等を卒業していること、一定以上の日本語能力があることなどが来日する条件となっています。ベトナムの場合、希望者はベトナム国内で約1年間の合宿をして日本語能力試験のN3(日常会話程度)に合格し、現地で日本の施設とマッチングし、さらに来日後も約2カ月間は千葉県内で日本の生活習慣を学び、やっと施設で働き始めることができます。そして3年間働き、介護福祉士国家試験に合格できなければ帰国を余儀なくされます。

 五常会は、最初は外国人介護人材の受け入れに積極的ではありませんでした。しかし5年ほど前、特別養護老人ホーム「瀬戸の里」の向晃良施設長がすでに日本で働いていたベトナム人のEPA介護福祉士候補者の発表を聞いた際、「今いる職員との差はない。むしろ高い意識で仕事に励んでいる。言葉の壁を克服しながら介護福祉士合格のための勉強と仕事を両立する姿は職場に良い刺激を与えると感じた」と、受け入れを決意した理由を話します。

 そして16年8月に4人が就職。タン・ミン・ズンさんは「来日して間もない頃、利用者の言葉がわからないこともありました。『えらい』と繰り返す方がいて、最初は褒められているのだと思いましたがそうではない様子で、苦しいという意味だとわかるまでに時間がかかりました」と振り返りますが、持ち前の勤勉さを生かし、短期間で多くを吸収していきました。法人側も日本語や介護福祉士合格のために外部講師を招くなどしてサポートしました。日本人職員は仕事以外でも一緒に買い物に行ったり食事に誘ったりと、日本での暮らしに早く馴染めるようにフォローしました。そして19年度の介護福祉士国家試験では見事4人全員が合格を果たしました。介護福祉士国家試験の合格率は全体で7割ほどと、日本人でも不合格になる人もいる中の快挙です。同じくEPAの枠組みで入職したグエン・ティ・トゥ・トゥイーさんも昨年度の介護福祉士国家試験に合格しました。19年に来日したルオン・バン・ティエンさんは、「先輩が全員合格しているので後に続きたい」と、ベトナムと日本の先輩職員にわからないところを教えてもらいながら22年度の合格を目指して勉強に励んでいます。月2回は外部講師による講習も受けています。

 瀬戸の里の糸井川朋大事務部長は「ベトナム人同士は近くに住んでいることもあり、夜勤明けの人のために食事を作ってから出勤するなど協力し合いながら頑張ってくれています。彼らの姿は日本人職員にとって大きなプラスになっています。これからもコンスタントに来て、一緒に働いてほしいですね」と話しています。