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【大会総評】打撃強化潮流に 1、2年生に好素材

2018年07月26日 09:20

2年連続5度目の夏の甲子園出場を決め、応援席へ駆け出す大垣日大ナイン=長良川球場

 「打撃力」。かつて野球王国と言われながら、低迷し続けてきた県高校野球が長年、指摘され続けてきた最重要課題。近年、向上の兆しはあったが今夏、例年以上に幅広い指導者から「打てないと勝てない。打撃力アップに取り組んだ」という言葉を聞いた。練習の質、量ともに高めて身に付ける「強く振る」ことは県高校野球の共通言語となったと言っても過言ではなく、記念の第100回大会で、県高校野球の新たな扉は開かれた。

 県の近年の甲子園は選抜では2010年に大垣日大がベスト4、13、15年に県岐阜商がベスト8になったが夏は09年に県岐阜商が39年ぶりにベスト4となって以降、昨年まで8年間でわずか3勝。原因が打撃力だ。夏の甲子園は春に比べて格段に打力アップしないと勝てないのは定説だが、全国の打力進化は目覚ましく、「春は投手力」の定説さえも覆されようとしている。

 打撃力アップのための素振り、ティー、フリーを合わせた「一日千スイング」ももはや県の常識となりつつある。長年、ぎふチャン解説者として県高校野球を見続けてきた福井雅一岐阜大総監督は県の「打撃特化」の潮流に「打撃力が上がれば投手力もアップする。昨年は全体に縦の変化球に対応できていない印象だったが、軸がぶれずにきっちり対応できるようになってきた」と指摘する。基盤に技術力はもちろん、フィジカルの徹底強化がある。今夏、県2連覇した大垣日大阪口慶三監督の地獄の走り込み"金生山トレーニング"は有名だが、準優勝の大垣商の有賀竜也監督も金生山トレを取り入れ、飛躍的にフィジカルアップ。フリー打撃6面打ちの特化練習も相まって秋春県1回戦敗退チームを変ぼうさせた。

 今春、一大エポックだった鍛治舎巧監督の母校県岐阜商就任がもたらしたフルスイング、ノーステップ打法の打撃革命によって選手たちが見違える進化を遂げたのはセンセーショナルだった。3回戦で敗退したが秋以降のさらなる強化を警戒する声が早くも聞かれ、この上ない刺激として県レベルアップへの起爆剤になっている。

 高い投手力を合わせ持たなければならないのは言うまでもない。大垣日大、大垣商はじめ4強の市岐阜商、岐阜第一に共通し、甲子園で勝つために欠くことができない要素。その中で大垣商の富田蓮やベスト8大垣南の臼井誠、岐阜各務野の市川青空ら並外れた身体能力がなくても内外角に切れのある直球を投げ込み、変化球との巧みなコンビネーションで強打線を抑えて躍進したことは示唆に富む。

 メモリアル代表大垣日大の甲子園での躍進を期待するのはもちろんだが、例年にまして1、2年に好素材がひしめくだけに今後へ期待が膨らむ。100年後、新たな県高校野球の歴史は100回の節目から始まったと語り継がれるであろう予感は満ちあふれている。