高校野球ニュース2019
1年前「5回で降りた。悔しい」中京院中京の不後投手

2019年07月30日 10:26

3年ぶりの甲子園出場を決め喜ぶ中京学院大中京のエース不後祐将選手=29日午後0時55分、岐阜市長良福光、長良川球場

3年ぶりの甲子園出場を決め喜ぶ中京学院大中京のエース不後祐将選手=29日午後0時55分、岐阜市長良福光、長良川球場

 「5回でマウンドを降りた。悔しい...」。29日、全国高校野球選手権岐阜大会で優勝した中京学院大中京のエース不後祐将選手の野球ノートはちょうど1年前のこの言葉で終わっている。2年生エースだった昨夏の準々決勝大垣日大戦、五回3失点で降板。チームも敗れ、先輩の夏を終わらせてしまった責任を感じ、書き記した言葉だ。「あの悔しさを忘れないよう、あのページを最後にして、練習前に毎日見てきた」。1年のときを経て、因縁の相手を破って涙を歓喜に変え、何度も雄たけびを上げた。

 「本当につらいことばかりだった」と振り返るように、不後選手の高校野球人生は苦難の連続だった。兵庫県の玉津中時代に15歳以下日本代表に選ばれ、期待され、岐阜の中京の門をたたいた。1年夏にベンチ入りし、大垣日大との決勝で、同点の八回からマウンドに立ったが3失点。2年から背番号1を背負ったが、昨夏も再び大垣日大の前に屈し、自らの野球ノートに悔しさをぶつけた。

 そして、選抜へとつながる秋の東海大会準決勝、その後選抜覇者となる東邦(愛知)に九回5点差を追い付かれ、2年連続で出場が濃厚となる決勝進出を目前に敗退。「もうあんな涙は流したくない」と、今夏へ懸ける思いは人一倍だった。

 だが、「疲れが取れなかった」と大会直前でも調子が上がらない。常に「先発完投が理想」だと語ってきたが、今大会はチームが勝つことを最優先に考えた。導き出した答えが「自分はいけるところまで飛ばし、あとは仲間を信じる」という継投策。決勝も本調子とは程遠くても鬼気迫る表情で一回から投げ続ける姿は仲間の心を動かし、胴上げ投手となった2年の元謙太選手が「調子が悪いとは思えないほどの気迫だった」と振り返れば、捕手の藤田健斗主将も「あいつの姿がチームに勢いを与えてくれた」とたたえる。

 こだわってきた完投は今大会ゼロ。だが、一丸となってつかんだ甲子園切符だからこそ「この仲間と一緒で良かった」と笑みがはじける。そしてこう締めくくった。「ノートには全ての悔しさを晴らせたことと、甲子園での理想の投球を書き加えます」。ノートの続きは、ようやくつかんだ憧れのマウンドを舞台にした高校野球最終章をつづる。