高速バス事故停車協力の男性証言「九死に一生」

2018年06月07日 07:51

  • 事故当時の状況を振り返る長村益穂さん=6日午後、関市山王通、関信用金庫山王通支店 
  • 事故を起こしたバス=3日、富山県南砺市上見、東海北陸自動車道下り線(長村益穂さん提供) 

 富山県南砺市の東海北陸自動車道で3日、岐阜バス(岐阜市)の大型バスの男性運転手(54)が意識を失い、センターポールに接触し3人が軽傷を負った事故で、乗客の一人で急きょ運転手に代わってハンドルを握り大事故になるのを回避した関信用金庫山王通支店長の長村益穂さん(55)が6日、岐阜新聞の取材に応じ、「まさに九死に一生だった」と当時の様子を克明に語った。

 バスは、長村さんと同支店の取引先関係者の計14人を乗せ、石川県七尾市の和倉温泉に向かう途中。突然左にそれ、一番前の席に座っていた長村さんは「運転手の居眠りか」と思った。

 するとバスは逆に右にそれ、センターポールを踏み倒して対向車線に侵入。「運転手さん!」と声を掛けても返事はなく、見るとシートにもたれるようにぐったりしていた。

 長村さんはとっさに上半身を乗り出してハンドルを握った。バスは橋の欄干に接触し、そのまま時速70、80キロほどで対向車線を約300メートル逆走、前方からは対向車が路側帯に避けるようにして走ってきて「後方が見えないが、このまま逆走するよりはましだ」とハンドルを左に切り、本来の車線に戻った。

 それでも走り続けるバス。衝突の弾みで乗客は座席から投げ出され、飲み物のコップは吹き飛んだ。大型免許を持つ別の乗客の男性2人が運転席に入り込むようにしてブレーキをかけてようやく止めた。危機一髪だった。

 看護師経験のある女性客が運転手に応急措置をした。岐阜バスによると、運転手は12日間連続勤務だった。

 「気がついたらハンドルを握っていた」と長村さん。警察官に「うまくハンドルを切られなかったら橋から落下、切りすぎたら横転していた」と言われほっとしたが、「当分観光バスに乗りたくない」と肩をすくめた。


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