ライチョウ目撃が急増 乗鞍岳の畳平

2018年07月22日 08:14

岩場を歩き回るライチョウの親子=高山市丹生川町、畳平

岩場を歩き回るライチョウの親子=高山市丹生川町、畳平

 北アルプス乗鞍岳の畳平(標高2702メートル)でここ数年、ライチョウの目撃数が急増している。すみかや餌となる高山植物が回復してきたことなどが要因とみられ、関係者は「ライチョウがすみやすい環境が整ってきた」と喜んでいる。

 ライチョウは本州中部の高山帯にのみ生息する希少な鳥で、国の特別天然記念物や岐阜県の県鳥に指定されている。毎年6月ごろに平均6個の卵を産み、ひなは1年で産卵できるまで成長する。1980年代には国内で約3千羽いたが、天敵の侵入などで減少し、現在は推定で2千羽弱とされる。

 乗鞍岳周辺の自然環境を監視している、飛騨県事務所環境課の乗鞍環境パトロール員のまとめによると、乗鞍岳でのライチョウの目撃数は、少なくとも2014年から17年まで毎年増加している。今年は昨年より4日早い6月25日にふ化が始まり、7月10日までに、過去4年間の同期の平均の11羽を大きく上回る23羽のひなが目撃されている。成鳥も同日までに延べ208羽(昨年同期比51羽増)が確認された。生息数が増加しているとみられる。

 県内のライチョウの生息状況を調査している、県環境企画課生物多様性係の髙橋幸子さんによると、巣作りに適したハイマツや、主要な餌となるガンコウランなどの高山植物が豊富にあることが生息数増加の要因の一つだという。さらに、登山者のマナーが向上したことで放置ごみが減り、カラスなどの天敵の侵入が少ないことも挙げる。

 乗鞍環境パトロール員の水田拓志さん(58)は、昨年7月のひなの目撃数も例年の2倍以上あったことから、「今年産卵できるようになった母鳥の数が多いのでは」とも話している。

 ひなは12月ごろまで母鳥と一緒に暮らすが、8月以降は行動範囲が広がり、人前にあまり姿を現さなくなるという。水田さんは「ペットを持ち込まない、登山道を離れないなど基本的なルールを守った上で、離れた場所からそっと見守ってほしい」と呼び掛けている。

 県内のほかの生息地では、ライチョウの生息数は比較的安定している。県は2017年、笠ケ岳で生息状況の調査を実施し、19のなわばりを発見した。1996年が15、85年が19だったことから、ほぼ同程度の生息数を保っているとみている。2016年の御嶽山での調査でも15のなわばりを発見し、最近30年間でほぼ変化していないと結論づけた。