長良川鉄道、美濃市-大矢間 昔ながら「手信号」で運行

2018年09月02日 08:47

上り列車の運転士(左)に通行証を手渡す臨時駅員。緑色の紙に日付と区間が書かれている=郡上市美並町、長良川鉄道大矢駅

上り列車の運転士(左)に通行証を手渡す臨時駅員。緑色の紙に日付と区間が書かれている=郡上市美並町、長良川鉄道大矢駅

 岐阜県郡上市美並町の長良川鉄道大矢駅。2カ月前まで無人駅だったホームでは、上り列車の出発のたび、臨時駅員が手動で青旗を掲げて合図をする。7月の西日本豪雨で被害を受けた同鉄道は、8月1日に全線再開を果たしたが、壊れた通信機器は復旧しておらず、美濃市-大矢間は昔ながらの「手信号」での運行が続く。OBら"助っ人"もホームに立ち、地域の足の安全運行を支えている。

 7月8日、土砂崩れで、美濃市の線路沿いに設置された単線の列車運行を管理する信号通信機器が流失。同区間は電子システムでの管理が不可能になり、上りと下りの列車がすれ違う美濃市駅(下り側)と大矢駅(上り側)では信号機が使えなくなった。

 「手信号」を長期間続けるのはシステム導入前の1990年以来。始発から終電まで両駅に2人ずつの駅員が必要で、「社員だけではとてもまかなえないのでOBにお願いして回った」(佐々木綱行運輸部長)。OBや他社の鉄道経験者10人が応え、臨時駅員として1日約15本の列車の通行を管理することになった。

 大矢の駅員は、美濃市から下り列車が載せてくる緑色の紙「通行証」を受け取り、待ち合わせる上り列車に渡す。「通行証」を持っている列車のみがこの区間を走行するため、双方向から列車が進入することを防ぐ仕組み。上り列車に「通行証」が渡り、線路上のポイントが切り替わったのを確認すると、別の駅員が上りホーム側の信号機に青旗を掲げる。

 OBの元運転士(74)=岐阜市=は久しぶりの業務に「ホームに立つのは新鮮。出発のたびに緊張しっ放し」と笑う。運転士時代に手信号運行の経験があり「駅員と運転士、顔が見えるとお互い親しみが湧く。若手運転士には良い経験になるのでは」と語る。

 信号通信機器が復旧するのは11月ごろになるという。佐々木運輸部長は「完全復旧はまだ先。力を借りて安全運行を続けたい」と話している。


カテゴリ: 社会