岐阜市の養豚場で「豚コレラ」 610頭殺処分へ

2018年09月09日 23:22

  • 豚コレラの陽性反応を受け、養豚場(手前)に残った豚の殺処分の準備を進める県職員ら=9日午前7時52分、岐阜市内(本社小型無人機より) 
  • 豚コレラの陽性反応が確認された豚舎で殺処分に当たる県職員ら=9日午後0時17分、岐阜市内 

 岐阜県は9日、岐阜市の養豚場で豚が相次いで死に、農林水産省が精密検査をした結果、家畜伝染病「豚(とん)コレラ」のウイルスが検出されたと発表した。県は飼育する残りの610頭全ての殺処分を開始。埋却や消毒も含めて防疫措置は3日ほどかかる見通し。人に感染することはない。

 国内で豚コレラが確認されたのは1992年、熊本県で発生して以来26年ぶり。県や農水省は感染ルートを調べている。農水省は豚肉の輸出を停止した。

 県によると、今月3日に豚1頭が急死したとして、同養豚場が岐阜市を通じて県に検査を依頼。県は解剖し「豚コレラに似た剖検(ぼうけん)」を確認したため、3日と5日に検査を実施、いずれも感染は確認できなかった。しかし7日の検査で陽性反応があり、8日に豚コレラの疑いが判明。国に精密検査を依頼し、9日に感染を確認した。

 県によると、同養豚場は4~8日にかけて計約80頭の飼育豚が死んだにもかかわらず、県や担当の獣医師に報告していなかった。この間、5日まで、豚の出荷を続けていた。豚の頭数を管理する台帳も作成しておらず、県は豚コレラで死んだ疑いのある豚が何頭いるのか正確な数を把握できていない。およそ80頭の死骸は豚舎に放置されており、殺処分した豚と一緒に埋却する。

  9日朝、県職員らが同養豚場に入り、防疫対策に着手。10日午前6時までに養豚場の豚全てを殺処分、12日午前6時までに敷地内への埋却や消毒を行う。

 県は同養豚場から半径3~10キロ圏内にある養豚場3カ所(計1012頭)を搬出制限区域とし、区域外への豚の搬出を禁止。また10キロ圏内に現場を含む6カ所の車両消毒ポイントを設置した。

 農水省は専門家でつくる原因究明の調査チームを県に派遣。また野中厚政務官が古田肇知事と面談し、現場の状況を聞き取った。

 豚コレラはアジアを中心に広く発生しているが、今回確認されたウイルスは今年中国で初めて発生して感染が拡大している「アフリカ豚コレラ」とは異なるという。

 【豚コレラ】豚やイノシシが感染するウイルス性伝染病。感染力が強く、致死率が高い。感染すると発熱や食欲減退、歩行困難などの症状が現れる。感染した豚やイノシシの接触、唾液や排せつ物などに汚染された物を通じた接触により感染が拡大する。人には感染せず、感染した豚の肉を食べても人体に影響はない。県などによると、国内では1888(明治21)年に北海道で初めて発生、昭和30~40年代にかけて全国的に拡大したが1969(昭和44)年に生ワクチンが開発されてから激減。92年に熊本県で確認されたのが最後で、国は2007年に「清浄化」を宣言した。岐阜県内では82年5月に関市で発生して以降、確認されていなかった。


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