洋間にも合う掛け軸を モダンなデザイン追究

2018年09月13日 08:13

  • チームのメンバーの(右から)上村俊明さん、山田敏明さん、市原英之さん。来店客の声に耳を傾けながら、掛け軸の新たなデザインを追究している=岐阜市加納堀田町、珈琲&ギャラリーあい 
  • むら染めの布で表装した「白映」(左)と、着物の布地で仕上げた「桔梗」=同 

 美濃和紙や絵絹の生産が盛んで、掛け軸の制作が地場産業として根付く岐阜。全国的に高いシェアを誇るが、生活様式の変化で住まいから床の間が消え、掛け軸を飾る機会が減少している。そこで県内の画家、表具師、元画商ら幅広い世代の男女5人が集まり、「チーム『jiku創(そう)』」を結成した。洋間にも合うデザインの掛け軸を開発するなど、軸装の技術と文化的精神を継承し、心豊かに過ごせる床の間的空間づくりを提案している。

 メンバーは、日本画家の上村俊明さん(71)=各務原市緑苑西=と島田智博さん(56)=下呂市乗政=、表具師の市原英之さん(66)=美濃市西市場=、市原さんの長女でイラストレーターの彩子さん(33)=東京都=、元画商で日本画を手掛ける山田敏明さん(68)=岐阜市長森本町=。

 制作する掛け軸には、伝統的形式にあるような上部から垂らす2本の風帯などがない。書画は真ん中ではなく位置をずらしたり、上下で布の色を変えたりと、1点1点が個性的でモダンなデザインを追究している。

 今年1月から県内外で展示会を行っており、30日まで岐阜市加納堀田町の珈琲&ギャラリーあいで開催。会場には上村さんの日本画を市原さんが表装した掛け軸11点が並ぶ。

 白いハナショウブが描かれた「白映(びゃくえい)」は、むら染めの布の濃淡が風でそよぐ水面(みなも)のよう。「桔梗(ききょう)」は上村さんの妻の着物の布地を使って仕上げられ、来店客からは「和室と洋室どちらにも合いそう」などと好評だ。

 各務原市神置町のギャラリー&カフェ204での展示会(10月31日~11月4日)では、初めてメンバー全員がそろって出品し、アニメ調のイラストの軸装も試みる。

 市原さんと山田さんによれば、掛け軸はかつては新築祝いなどとして重宝され、昭和40年代(1965~74年)から98年ごろまでは作れば売れた時代だった。しかしその後の生産量は右肩下がりといい、「ここ10年はさらに落ち込み、売り上げは最盛期の半分以下」と口をそろえる。

 チームでは今後、軸装するアートの幅を広げるほか、掛ける場所といった飾り方も研究して掛け軸の在り方を探っていく。上村さんは「軽くて扱いやすく収納もしやすい掛け軸は、これからの暮らしに合っているのでは。芸術を気軽に楽しめるインテリアとして見直し、生活空間に取り入れてみては」と話す。


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