ジビエ関係者に不安 野生イノシシに豚コレラ

2018年09月15日 07:58

  • 丘陵地に近い田んぼ脇の水路(×印)で死んだイノシシが見つかった=14日午後0時22分、岐阜市打越(本社小型無人機より) 
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 岐阜市内の養豚場で「豚(とん)コレラ」の感染が確認されてから5日たった14日、養豚場の外で野生イノシシの感染が明らかになった。防疫態勢を敷いている中で迎えた新たな局面。どこまで感染が広がっているのか。目に見えないウイルスは感染経路も分からないまま。事態の早期収束を願う畜産関係者、住民、行政は不安を抱えながら警戒を強め、成り行きを見守っている。

 岐阜市内で豚コレラに感染した野生のイノシシが見つかり、ジビエ(野生鳥獣肉)を提供する料理店や加工処理施設、猟師に不安が広がった。

 本巣市の猟友会員らで組織し、2016年に市内に加工施設を立ち上げた「里山ジビエ会」の近藤正男代表理事は「事業が軌道に乗り始めたときなのに」と肩を落とす。14日朝から食肉の出荷を自主的に停止。出荷先からの問い合わせも相次ぎ、対応に追われた。「この状況が続けば、閉鎖するしかなくなる」と嘆く。

 一年を通じ、イノシシ肉などを提供する山県市長滝の郷土料理店「かたつむり」。店主の清水滋人さん(63)は「人が食べても影響はないとされているのに、客から『食べても大丈夫か』と尋ねられた」と明かし「行政や報道機関は消費者に安全と伝えてほしい」と求めた。食肉処理設備を備える加茂郡八百津町の料理旅館「五宝の滝」は保健所の助言を受け、収束するまでは入荷を取りやめることにした。「何かあってからでは遅いから」と店長の久保田豊さん(38)は不安を漏らす。

 猟期開始を11月15日(わなは1日)に控えた猟師にも衝撃を与えた。県猟友会の大野恵章会長は「大変な事態。取り返しのつかないことになるかもしれない」とショックを隠さない。現在は有害駆除として捕獲や捕殺は行っており、情報や検体を県に提供するよう会員に呼び掛けている。猟師歴45年という大野会長は「イノシシは縄張りを大切にする。雌は子育てで移動が少ない時期だが、雄は一晩で30~40キロを移動することもある」と指摘し、感染の広がりを懸念する。

 郡上市の猟師は「イノシシは体の汚れを落とす『ぬた場』を共有する。11月に狩猟が始まると、イノシシは移動を余儀なくされる可能性もある」と話した。


カテゴリ: 社会