県畜産研で豚コレラ 飼育豚500頭殺処分へ

2018年12月05日 11:36

  • 豚コレラの発生確認を受け、防護服姿で施設に入る作業員ら=5日午前9時57分、美濃加茂市前平町、県畜産研究所 
  • 埋却作業のため重機を搬入する作業員=5日午前8時25分、美濃加茂市前平町、県畜産研究所 
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 岐阜県美濃加茂市前平町の県畜産研究所養豚・養鶏研究部で、家畜伝染病「豚(とん)コレラ」に感染した疑いがある飼養豚が見つかっていた問題で、県は5日、国の遺伝子解析により感染が確認されたと発表した。豚への感染は3例目で、県の施設では初めて。県は同施設で飼育する約500頭の豚を全て殺処分する。これまで防疫対策を主導してきた県の施設で感染が見つかり、県は抜本的な対策の見直しを迫られる。

 同研究部では県のブランド豚「ボーノポーク」の種豚を飼養。種豚が殺処分されると生産農家は供給源を失う。一部の民間農場でも種豚を保有しているが、霜降り肉の品種改良など、ブランドの再構築には数年かかるとみられ、県畜産業界に深刻な影響を及ぼす可能性がある。

 県は5日午前8時半すぎから県家畜伝染病防疫対策本部員会議を開催。古田肇知事は「防疫態勢として十分に取り組んでいるはずの、県の畜産政策の要である研究機関で発症したことは誠に申し訳ない」と謝罪。農林水産省の指針に基づき、24時間以内に殺処分、72時間以内に埋却や消毒作業を行う。

 県によると、先月16日と26日に研究部で食欲不振の豚が見つかったが、血液検査や遺伝子検査で陰性を確認。同30日から今月3日にかけて4頭が体調を崩したため、県が遺伝子検査を行ったところ、感染を疑わせる結果が出たため、国にも検査を依頼していた。

 県畜産研究所養豚・養鶏研究部は岐阜市の1例目の発生農場から約15キロの距離。県は半径10キロ以内の関市や美濃加茂市などの5農場(計8978頭)を搬出制限とし、同じ食肉処理施設を利用していた2農場に立ち入り検査を実施する。

 今年9月9日に岐阜市の養豚場で1例目の感染が発覚。11月16日には同市の畜産センター公園で2例目の感染が判明。感染した野生イノシシは今月4日までに63頭に上り、美濃加茂市に隣接する可児市や加茂郡坂祝町、同郡八百津町にも広がっていた。

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 岐阜県で3例目の豚コレラが発生したことを受け、農林水産省は5日、対策本部の会議を開催した。吉川貴盛農相は「県の研究所で発生したのは極めて重要だ。影響が大きい」と述べ、早急に対応するよう指示した。

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 美濃加茂市前平町の県畜産研究所では5日午前6時半ごろ、建設作業員約20人が埋設予定地近くでブルーシートを張る作業を開始。埋却作業に使う重機が次々と出入り口から入った。

 出入り口付近には、3棟のテントが設置され、県職員らが薬品類などを矢継ぎ早に並べたり、消毒用の石灰をまいたりした。午前9時半ごろからは、白い防護服の県職員らが次々と所内に入った。埋却予定地では、重機が立ち木などを除去する作業が行われた。

◆「早く手を打って」 住民説明会

 美濃加茂市前平町の県畜産研究所で豚コレラに感染した飼育豚が確認されたことを受け、県は5日朝、市生涯学習センターで地域住民への説明会を開いた。

 約25人が出席。同研究所長ら3人が、感染疑いのある豚が確認されてからの経緯や、今後の防疫措置などを説明。質疑応答を含め約1時間で終了した。同研究所近くに住む無職男性(69)は「市内で養豚業を営む人にとっては大変な出来事だ。県は早く手を打ってほしい」と求めた。


カテゴリ: 社会