ブランド豚肉に暗雲 県畜産研で豚コレラ

2018年12月06日 07:49

埋却処分の穴を掘る重機の脇を通り、足を消毒して外に出る関係者ら=5日午後2時59分、美濃加茂市前平町、県畜産研究所

埋却処分の穴を掘る重機の脇を通り、足を消毒して外に出る関係者ら=5日午後2時59分、美濃加茂市前平町、県畜産研究所

 岐阜市の養豚場で家畜伝染病「豚(とん)コレラ」が国内で26年ぶりに確認されてから約3カ月。3例目が最も厳しい防疫態勢を敷いていたはずの県畜産研究所で発生し、5日、感染拡大防止に全力を注いできた県や養豚業者らから落胆の声が上がった。高い肉質の豚を生み出す種豚を飼育する研究所が再び安定供給できる態勢に戻るには数年を要するとみられ、品質を維持できるのか県や業界に不安が広がった。

 「これから先、どう対策を取ればいいのか」。3例目の豚コレラ発生を受け、防疫に取り組んできた県内の畜産業界には大きな動揺が走った。明確な対策を見いだせないまま、ブランド豚肉の先行き不安も追い打ちをかける。

 県によると、畜産研究所は種豚「ボーノブラウン」などを飼養し、県内の生産農家10農場程度に精液を供給していた。このうち3農場は霜降りの割合が一般的な豚の倍ある「ボーノポーク」を年間に約1万頭出荷している。農場にも親豚はいるため直ちに生産に影響は出ないが、感染前の供給態勢に回復するには数年を要する見通しだ。

 県畜産協会の養豚担当者は「大変ショックな出来事」と肩を落とした。会員農場が防疫対策の徹底に苦労する中、最も厳格なはずの研究施設で感染が見つかり「これからどう防疫対策を取ればいいのか」とため息。出荷を制限された農場もあるが「今は情報の収集、発信に努めるしかない」ともどかしそうに話す。

 「どこの農場もピリピリしている」と話すのは、恵那市の養豚業者。もし飼育する豚が感染すれば、全頭の殺処分を強いられる。「経営に相当なダメージを受け、廃業する業者が大半だろう」。金網や電気柵を使った防疫対策に取り組むが、鳥などすべての感染リスクを防げるわけではなく「頭が痛い」と嘆く。

 JAめぐみの(関市)の職員も「お歳暮など年末の需要期で、(搬出制限で)出荷が滞って生産者に負担がかからないか心配」と気遣う。

 ブランド豚肉の生産を支える種豚の殺処分を受け、将来の安定供給への不安も聞かれる。東濃地域のある養豚業者は「(自前で)種豚を飼育しているので、更新期までの1年半から2年はこれまで通り出荷できるが、更新期が過ぎた後は供給源が失われる」と語り、県の供給態勢の立て直しを願った。

 一方、ボーノポーク銘柄推進協議会の早瀬敦史会長は「種豚は農場でも増やすことができる。ブランドの維持に影響はない」と強調。研究所の感染で「品種改良の研究が停滞するのが心配」とした。


カテゴリ: 社会