豚コレラ、従来対策に不安 農家「拡散怖い」

2018年12月11日 07:56

飼育イノシシの感染が確認された施設前で待機する関係者=10日午後7時3分、関市内(撮影・堀尚人)

飼育イノシシの感染が確認された施設前で待機する関係者=10日午後7時3分、関市内(撮影・堀尚人)

 岐阜県内で感染が拡大する家畜伝染病「豚(とん)コレラ」。10日には関市内のイノシシ飼育施設で4例目となる感染が確認された。9月9日に岐阜市の農場で発生してから3カ月。対策が万全だったはずの県畜産研究所でも起きるなど、日を追うごとに防疫の難しさが浮き彫りとなっている。施設周辺の農場では9200頭を超す豚を飼育しており、養豚関係者は「いつ感染するか分からない」と重苦しい雰囲気に包まれている。

 豚コレラが発生した関市内のイノシシ飼育施設付近では、10日午後から白い防護服を着た県職員や建設業関係者が集まり、イノシシの殺処分や埋却作業に当たった。

 県は住民を対象に説明会を開き、経緯や防疫措置について説明した。埋却地周辺には農地が広がっていることもあり、住民からは水への影響を心配する声が上がった。

 施設から半径10キロ以内で搬出制限区域にある関市などの養豚農家では、9200頭を超える豚が飼育されている。同市の担当者は「養豚場への感染が怖い。美濃加茂市の県畜産研究所でも発生しており、従来の防護策には限界があるのでは。ワクチンを使うことも考えるべきだ」との見方を示す。

 養豚場を経営する男性は「もうそこら中にウイルスは拡散しているはず。県の指示通りの防護策を行っているが、どうしても人や物の出入りはあり、どこからでも感染はあり得る」と不安を口にする。

 一方、施設所有者の男性(69)は「県の指導の通り、電気柵を設け、石灰をまくなど対策を取っていた。どうして感染したのか」と話した。

◇防護柵増設や禁猟区拡大 県が対策

 関市で飼育イノシシの豚コレラ感染が判明したことを受け、県は10日、県家畜伝染病防疫対策本部員会議を開き、防護柵の増設や禁猟区域の拡大などの対策を決めた。また、今月5日に3例目の豚の感染が確認された県畜産研究所(美濃加茂市)での緊急検証の結果を発表し、さらなる防疫対策の実施やマニュアル策定に向け、有識者会議を設けることを決めた。

 会議では、狩猟の禁止区域に恵那市、下呂市、加茂郡白川町のそれぞれ一部を追加し、26市町にまたがる地域に拡大した。野生鳥獣肉(ジビエ)の利用も自粛とする。

 また野生イノシシの移動を防ぐため設置している防護柵について、新たに中央自動車道のアンダーパスや飛騨川沿いに設け、封じ込めを図る。

 県畜産研究所の検証では、防疫措置の適切さや改善点などを調査。感染経路は明らかになっていないが、研究所では国の衛生管理基準以上の防疫対策に取り組んでいたことから、今後は鳥など小動物の防疫対策も追加で行うべきだとした。

 また、今回の感染確認の端緒は食欲不振であり、これまで典型的な症状とされていた発熱や下痢など顕著な異常がなかったと報告し、「感染確認の在り方を再検討すべきだ」と提起した。さらに経緯の分析や追加措置の検討に向けた有識者会議の設置が必要とした。


カテゴリ: 社会