TVで注目!幻の料理「じんだ」商品化へ奮闘

2018年12月23日 08:08

  • 完成したじんだを配膳する新谷とき子さん(中央)=白川村平瀬、村南部地区文化会館 
  • ゆでた大豆を石臼で根気よくつぶしたじんだの調理風景=白川村木谷、白弓荘 

 岐阜県白川村南部地域に大豆を使った報恩講料理「じんだ」が細々と伝わっている。同村木谷の民宿「白弓荘」で年に1度作られるのみで、住民からは「幻の料理」とも呼ばれる。先月、郷土料理を扱うテレビ番組で全国1位に輝いたことで脚光を浴び、村内で商品化の試みが始まった。

 じんだは、石臼でつぶした豆に水を切った大根を混ぜ、砂糖、塩とからしで味付けする。硬さが残るゆで具合の豆にできる限り水分を混ぜずに調理することで、濃厚でクリーミーな味わいになる。

 今月12日、同民宿のおかみ新谷とき子さん(74)とその親族4人が作業した。ゴリゴリと重たい音を響かせながら2人がかりで石臼を回し、1人が数粒ずつ大豆を入れる。

 臼から、染み出てきたペースト状の大豆をこそげ取ってみるとほんのりと甘く、香ばしい後味が広がる。新谷さんは「皆が集まってくれんとできんのやさ。自分が生きている間は続けたいね」と協力に感謝した。2時間ひき続けて約8合分を作った。

 複数人で長時間作業しなくてはならないため調理する家庭が減り、現在は同民宿で家庭用に作るのみ。提供している飲食店・宿泊施設は村内に一軒もない。

 新谷さんは村南部地域の老人クラブ「明朗会」の忘年会で、優勝報告として45人分を提供した。「やっぱりうまい」とうなずきながら味わった髙島外成(そとしげ)会長(81)=同村平瀬=は、「クラブの中には『数十年ぶりに食べた』という人もいる。昔の味と全く変わっておらず感動した」と喜んだ。

 先月放送されたテレビ番組は、全国の郷土料理を集め、珍しさやおいしさ、背後にある歴史を評価する。じんだはグランプリに選ばれて一躍脚光を浴び、住民の希望を受けて商品化に向けた機運が高まっている。

 だが機械で本来の味を出すのは難しい。同村保木脇で豆腐店「深山豆富店」を営む大野誠信(せいしん)さん(71)は、試しに電動の臼に豆を入れてひいてみたが、水を混ぜないと機械が動かず断念した。

 過去には村名物の大豆料理「すったて」の保存法を編み出した大野さんは「今後もいろいろ試して、子どもの頃の味を再現したい」と意気込んでいる。


カテゴリ: くらし・文化 グルメ

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