避難判断、続く自問「水位油断あった」豪雨半年

2019年01月09日 07:27

災害後、津保川に設置された危機管理型水位計=関市上之保

災害後、津保川に設置された危機管理型水位計=関市上之保

 西日本豪雨で岐阜県関市が甚大な被害に見舞われてから8日で半年がたった。1人が死亡、400世帯以上が浸水した災害で浮き彫りになったのは、適切に避難することの難しさ。行政は情報伝達の方法、住民は避難の判断という課題と向き合っている。

 災害後、市は避難指示発令の遅さを非難された。発令した7月8日午前2時35分には、すでに津保川からあふれた濁流が上之保川合地区などを襲っていた。市は10月に公表した検証報告で「雨量が多かった板取方面(市北西部)を警戒していた」「津保川下流の下之保の水位計に判断を頼った」ことなどを反省点に挙げた。

 県はこれまでに、津保川の4カ所に危機管理型と呼ばれる水位計を設置。従来の水位計を活用する態勢も整えた。市は「水位計などの情報を基に避難情報発令のタイミングを県と協議して決める」と対策を進める。

 一方、住民側でも「避難判断の遅れには『これ以上水位は上がらないだろう』という希望的観測があったのは確か」との声が上がる。

 上之保の中心部、川合下地区の自治会長宇佐見勲さん(68)は住民側に油断があったと認める。「1時間に1回は川の水位を見に行っていた。午前1時ごろまでに急に増水したのを確認し、これが上限だろうと思ってしまった。結果的には危機一髪の避難だった」と振り返る。

 宇佐見さんには気になることがある。昨年12月に県が地元で開いた避難方法を考える勉強会の参加者が予想を下回った。「被害が大きかった場所の住民は多かったが、それ以外は少なかった。他にも危ない場所はあるのに。行政任せでいいという人もいる」と渋い顔だ。

 勉強会で講演した岐阜大地域減災研究センターの村岡治道特任准教授は「警戒心は持っているものの、避難のタイミングを考えきれていないようだ。災害が多い時季までに避難手順を構築できるよう手伝いたい」と話している。

 勉強会は今後も開かれる。宇佐見さんは「自己防衛のためにも次回はもっと集まってほしい」と力を込める。


カテゴリ: 社会