全容解明へ正念場 高山元職員逮捕1週間

2019年02月10日 07:40

入所者への傷害容疑で元職員が逮捕された介護老人保健施設「それいゆ」。10日で逮捕から1週間を迎えた=9日午前、高山市桐生町

入所者への傷害容疑で元職員が逮捕された介護老人保健施設「それいゆ」。10日で逮捕から1週間を迎えた=9日午前、高山市桐生町

 岐阜県高山市桐生町の介護老人保健施設「それいゆ」で、2017年7月末~8月中旬に入所者の男女5人が相次いで死傷した事件は、当時91歳の女性への傷害容疑で元職員の小鳥剛(おどりたけし)容疑者(33)=名古屋市南区戸部下=が逮捕され、10日で1週間となる。高山署捜査本部は小鳥容疑者の認否を明らかにしていないが、接見した弁護士によると容疑を否認。関与を裏付ける「直接証拠」が乏しい中、全容解明に向けた慎重な捜査が続く。

 「やっとこの日が来た」。逮捕の報が入った3日、女性の長男の妻(68)はその知らせに思わず涙した。施設からは「事故」と説明を受けていたが、納得はしていなかった。捜査本部には、「徹底的に(真実を)追及してほしい」と求める。

 発覚から約1年半。ある捜査関係者が「証拠が薄く、今まで関わった事件の中で一番難しい」と漏らすほど捜査は難航した。犯行を映す防犯カメラの映像や目撃証言がなく、入所者からほとんど話が聞けなかったためだ。

 捜査本部は施設職員らへの聴き取りやカメラの解析などで女性が負傷した際、小鳥容疑者が1人で介助していた可能性が高いことを割り出し、医師ら複数の専門家の鑑定で通常の介助ではできないけがで、故意に力が加わった暴行と判断した。

 小鳥容疑者は17年8月15日午後2時10分ごろ、女性に施設2階の部屋で暴行し、両あばら骨の骨折や外傷性血気胸など2カ月の重傷を負わせた疑いで逮捕された。女性の胸やのどの辺りには内出血や擦り傷があり、強い力で押さえつけられた可能性があるという。弁護士によると、本人は「おむつ交換をしていただけ。暴行や傷害はやっていない」と話している。

 今後、捜査本部は、小鳥容疑者の取り調べとともに、起訴に向けた証拠を固める一方、女性以外の4人の死傷についても小鳥容疑者の関与を含め、死亡の経緯を慎重に調べる。真相究明への正念場を迎えている。


カテゴリ: 事件・事故 社会