地域唯一の商店が閉店 地元経営者夫妻立ち上がる

2019年02月17日 09:10

20日に閉店する「リカー&コンビニエンスAsahiya」の前で手を合わす井戸公子さん(中央)と加藤太一さん(左)、恵美さん=七宗町神渕

20日に閉店する「リカー&コンビニエンスAsahiya」の前で手を合わす井戸公子さん(中央)と加藤太一さん(左)、恵美さん=七宗町神渕

 岐阜県七宗町神渕の奥田地区で唯一の商店として3代に渡って営まれてきた「リカー&コンビニエンスAsahiya」が20日、住民らに惜しまれつつ約80年の歴史に幕を閉じる。地域の商店の灯を消すまいと、食品製造販売の「こぶしの里」を運営する七宗食品(同町神渕)が今春、居抜きで新店舗をオープンし、新しい光をともす。

 奥田地区は50戸ほどの集落。Asahiyaは食料品店として創業した。約25年前に県道を挟んだ向かい側に移転、模様替えし、コンビニになった。子どもたちが菓子を買いに訪れたり、大人が食品や雑貨を買ったりと地域の商店として親しまれてきた。

 子どもの頃から通っていた七宗食品社長の加藤太一さん(40)の妻恵美さん(38)が昨年末、買い物に訪れた際、3代目店主の井戸公子さん(68)が閉店を考えていることを知った。50年近く店に立ってきた井戸さんは「寂しい気持ちもあるが、(客足が減り)閉店は覚悟していた」と言う。

 話を聞いた太一さんは、今春生まれてくる娘が「田舎には住みたくない」と言って町を出ていく夢を見たという。「娘のためにすてきな町にしなければ」。加藤さん夫婦は同店の活用へ向けて立ち上がった。

 加藤さん夫婦の提案に井戸さんは即諾し、「若い人で地域を盛り上げてほしい。桜が咲く頃には新しい店となる。私も楽しみにしている」と応援する。

 新しい店名は「心商店」。地域住民、県道を行き交う人たちをつなぐ場所となるよう願いを込めた。店舗内に大きなテーブルを配置し、飲食可能なイートインのスペースを確保する。「コミュニティーカフェのようになれば」と恵美さん。地元で採れた野菜や総菜の販売も構想している。改修費用の一部をインターネットで資金を集めるクラウドファンディングで調達する。

 同町の人口は約3800人。少子高齢化とともに店舗の廃業が進んでいるという。太一さんは「七宗町から店が消えていくのは寂しい。地域住民が買い物に行ける店を続けていきたい」と力を込めた。


カテゴリ: くらし・文化