県、国の豚コレラ対応「疑問だらけ」 ワクチン投与事前相談なし

2019年02月23日 07:46

 岐阜県内などで相次ぐ家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の新たな対策として、農林水産省が22日示したワクチン投与の方針。ところが、感染した野生イノシシが多数見つかり、ワクチン投与の実施場所とされる岐阜県には、具体的な相談や連絡がないという。実務的な協議なしに吉川貴盛農相の発言が先行する流れに、古田肇知事は「疑問だらけでピンと来ない」。一連の豚コレラ問題を巡り、現場とかけ離れた国の対応を疑問視する声も上がる。

 農水省は、ドイツから3月上旬にワクチン入りの餌を輸入し、輸入量は1年超の散布を想定した12万個と説明。しかし、イノシシの調査捕獲範囲で散布するのか、感染イノシシの発見場所などを重点的に散布するのかなど、効果的な方法の協議は進んでいない。

 ドイツでは年3回散布。日本でも3回使う予定としているが、具体的な計画は見えていない。通常は試験的に散布し、効果や他の動物への影響などを見極め、改めて本格的に散布するが、県担当課は「3月中にやるとなると時間がない」と漏らす。

 古田知事も「(12万個は)どう数字をはじいたのか」と疑問視。日本初の取り組みにもかかわらず、実務的な協議が不十分なまま実施方針だけ示されたことに「大臣が方針を示したら、実務的にはずばっと説明できないといけないのだが」と眉をひそめる。

 現場との「擦れ違い」は、これまでもあった。今月中旬には、感染が判明した本巣市の養豚場と愛知県豊田市の養豚場に、同じ飼料業者のトラックが出入りしていたと農水省が説明。ところがウイルスが一部異なることが分かり、翌日には感染経路でないと火消しに追われた。

 農水省が今月6日に発表したイノシシ対策の補助金は、対象時期を限定したため、支援が必要な岐阜県が使える補助金は1円もなかった。

 アピール先行ともとれる国の対応が目立つが、古田知事は「ともかくワクチンにトライする以上、意味のあるやり方で、良い結果を出したい」と前を向いた。


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