畳で長良川の越流防ぐ「畳堤」共助の遺産

2019年02月24日 07:40

  • 畳を差し込んだ畳堤を確認する生徒=岐阜市忠節町 
  • 増水時に畳をはめ込んで水防に活用する畳堤。普段は川側を見通せるようになっている=同 

 岐阜市の長良川堤防には、増水時に近隣住民が畳を持ち寄ってはめ込み、越流を防ぐ堤防「畳堤(たたみてい)」がある。堤防上のコンクリート柵の支柱に畳がちょうど縦に入る切れ込みがあり、増水時は畳を入れて住宅地を守る一方で、平時は柵の間から川を見通す景観を保つ仕組み。全国的にも珍しい堤防だが使われなくなって久しく、地域住民にもほとんど知られていないという。そんな畳堤をPRしようと、豊田工業高等専門学校(愛知県豊田市)の生徒5人がイベントの開催を構想。実現に向けて実際に畳みを運び、先人の知恵を体感した。

 「こんなにしんどいとは思わなかった」。21日、リヤカーに載せた12~18キログラムの畳を運んだ豊田高専5年の宮崎翠蓮さん(20)は息を弾ませた。同市西野町の西本願寺岐阜別院をスタートし、畳堤までの約400メートルをダッシュ。「畳が重たいからこそ、昔の人は助け合って運び、共助の精神を培っていたんだと実感した」

 木曽川上流河川事務所などによると、畳堤は長良川を含め全国に3カ所しかない「特殊堤」。長良川の畳堤は昭和初期ごろに造られたとされており、現在は金華橋から忠節橋の左岸約1・5キロに残っている。市水防対策課の担当者は「実際に畳がはめ込まれたという話は近年聞いたことがない」と話す。

 昨年8月、宮崎さんが同事務所で職場体験をした際、畳堤の存在を知った。今や住民にもほとんど知られていないと聞き、「多くの人にPRしたい」と決意。高専の仲間に声を掛け、畳を運んではめ込むまでのタイムを競う交流大会「畳入れ選手権」を企画した。

 国立高等専門学校機構などが主催するアイデアコンテスト「地域防災力向上チャレンジ」に応募したところ、全国10校のみが残る最終審査会(3月27日、東京都)に駒を進めた。この日は、審査会に向けた最終検証の一環として5枚を運び、コンテストを共催する防災科学技術研究所(茨城県)の担当者2人も立ち会った。

 「子どもからお年寄りまでが参加するお祭りのような選手権にしたい」と話すのは、参加した飯田真帆さん(20)、岡田菜緒さん(20)。宮崎さんは「町も景観も守る共助の仕組みや精神を、選手権の開催を通じて広めていきたい」と意気込んでいる。


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