残る3人慎重捜査 高山介護施設事件、逮捕1カ月

2019年03月03日 08:25

  • 入所者5人が相次いで死傷した事件で、元職員が立件された介護老人保健施設「それいゆ」。3日で最初の逮捕から1カ月を迎えた=2日午前、高山市桐生町 
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 岐阜県高山市桐生町の介護老人保健施設「それいゆ」で2017年7月末~8月中旬、入所していた80~90代の男女5人が相次いで死傷した事件は、元職員小鳥(おどり)剛(たけし)容疑者(33)=名古屋市南区戸部下=が最初に逮捕されて3日で1カ月となる。高山署捜査本部はこれまで、うち2人の女性への傷害と傷害致死容疑で逮捕した。残る3人についても事件とみており、死傷した経緯など全容解明に向けた捜査が続く。

 捜査本部は2月3日、大けがを負った当時91歳の女性への傷害容疑で小鳥容疑者を逮捕。岐阜地検高山支部が24日、傷害罪で起訴した。また同日、死亡した中江幸子さん=当時(87)=への傷害致死容疑で再逮捕した。捜査本部は認否を明らかにしていないが、接見した弁護士は岐阜新聞のこれまでの取材に、小鳥容疑者がいずれも「やっていない」などと容疑を否認していると説明している。

 「元々(小鳥容疑者の)自供が見込めない前提で捜査は続けてきた」と関係者。両事件とも犯行を映す防犯カメラの映像や目撃証言など「直接証拠」も乏しい中、捜査本部はいずれも逮捕にこぎ着けた。医師ら複数の専門家の鑑定を踏まえ、「通常の介助ではできないけが」で、故意に力が加わった暴行と判断。施設職員らへの聴き取りやカメラ解析などから2人が負傷した際、小鳥容疑者が1人で介助していた可能性が高いことを割り出した。

 また、両事件とも、被害者はともにあばら骨が複数本折れ、強い力で押さえつけられたような圧迫痕があった。けがの状況が類似しており、同様の方法で暴行を加えた可能性があるとみて調べている。

 施設によると、小鳥容疑者は死傷した5人全員の介助に携わっていた。残る3人が死傷した経緯についても、捜査本部は小鳥容疑者の関与の有無を含め慎重に調べている。ただ、中江さんが亡くなる前の2人は検視の結果や、遺体が火葬され、病院から通報がなかったことから司法解剖が行われていない。県警関係者は「司法解剖したのとしなかったのとでは、死因の信用性や捜査の難しさは異なる」と話す。一連の事件の全容解明に向け、引き続き難しい捜査を迫られそうだ。


カテゴリ: 事件・事故 社会