人道の手記、孫ら公開 東京で23日に千畝氏資料館開館

2019年03月17日 07:51

  • 執務机が再現された資料館「杉原千畝センポミュージアム」の内覧会で、館内を見学する人たち=16日午後2時58分、東京都中央区八重洲、同館 
  • 公開された杉原千畝氏の手記原本 

 第2次世界大戦中に多くのユダヤ人を救った外交官、杉原千畝(ちうね)氏(1900-1986年)の手記や足跡を紹介する「杉原千畝センポミュージアム」が23日、東京都中央区八重洲に開館する。開設するのは、孫の千弘さん(55)が理事長を務めるNPO法人で、遺族にとって念願の資料館。23日から一般公開される。

 遺族が保管する杉原氏の手記は、同氏の郷里の岐阜県加茂郡八百津町が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」に申請した資料に入っていたが、一部の疑義を受けて町が取り下げた。2017年に出た結果も不登録という憂き目に遭った。

 「翻弄(ほんろう)されて祖父がかわいそうだった。ユネスコに関係なく、家族の手で皆さんに手記を見せたいと思った」と孫のまどかさん(52)。

 もともと、家族による資料館は長男弘樹さんらが構想を温めていたが、01年に弘樹さんが急逝し立ち消えになっていた。今回は1年前から準備を始め、東京駅に近いビルの1フロア(135平方メートル)での開設にこぎ着けた。

 館内には、「苦慮、煩悶(はんもん)の揚句、私はついに人道、博愛精神第一という結論を得た」という「命のビザ」発給時の心情を記した1枚手記と49枚の「決断 外交官秘話」を展示。家族と一緒にリトアニアの日本領事館内で撮られた初公開写真や、イスラエルから贈られた「諸国民の中の正義の人賞」(ヤド・バシェム賞)のメダル、杉原リスト記載の名前を全て紹介した幅5メートルのパネルなどの資料約70点のほか、ミュージカル「SEMPO」で使われた執務机や舞台セットが並ぶ。

 「杉原ビザ」で、カナダに逃れたユダヤ系ポーランド人ネイサン(ヌタ)・ブルマンさんの遺族からビザも借り受けて展示しており、19日の開館記念式典には遺族が参列する予定。

 杉原氏の長男の妻美智さん(80)=東京都=は「多くの写真は抑留を経て日本に帰る時に『家族の大事な記録だから』と持って帰ってきたと義母から聞いた。長く眠っていたが、こうして見てもらえてうれしい」と話していた。

 開館は午前11時~午後5時(月、火曜休館)。入館料は大人500円、中高生300円、小学生以下は無料。問い合わせは同館、電話03(6265)1808。


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