桜の和傘、咲き誇る春 「和傘CASA」

2019年03月24日 08:28

「和傘CASA」が取り扱う桜の花の形をした和傘=岐阜市湊町

「和傘CASA」が取り扱う桜の花の形をした和傘=岐阜市湊町

 岐阜市湊町の和傘専門店「和傘CASA」は、桜の花の形をした和傘を作製した。同市の若手職人河合幹子さん(31)が製作し、斬新なデザインから会員制交流サイト(SNS)で話題となり、4月1日から発売する予定だったが、すぐに予約でいっぱい。一本20万円(税抜き)と高価だが、12月まで手に入らないほどの人気で、河口郁美店長(38)は「こんなに反響があるとは」と驚いている。

◆リツイート2万件

 和傘は、桜をイメージし春を感じさせる柔らかなデザインの日傘。美濃の手すき和紙を二重に張り、表面は3種類の和紙を使い分けた。薄紅色のグラデーションで彩られ、緻密な水玉模様もあしらわれている。太陽の光を受けると色の変化を楽しめたり模様が浮かび上がったりして傘の表情が変わる。一般的な丸傘と異なり、複雑な桜の花びらの形を実現するため、絶妙な長さに骨を調節する作業などが難しいといい、繊細な職人技が随所に光る。

 製作のきっかけは、映画「メリー・ポピンズリターンズ」の主演を務めた女優エミリー・ブラントさんに贈るオリジナル和傘の製作を依頼されたこと。完成した傘をツイッターで紹介すると、リツイート(転載)が2万件となるなど大きな反響を呼んだ。

 河合さんが日頃、和傘CASAの製品を手掛けている縁もあり、話題性やデザイン性の高さから店でも色を変更し、取り扱うことになった。「現代では見られない斬新なデザイン」と河口さんは第一印象を語り、「日本人にとって桜はなじみ深く、すぐに商品化するべきと感じた」と振り返る。

◆伝統工芸継承に光

 1本を作るのに2カ月ほどを要し大量生産できない中、4月から3本を販売する予定だった。だが、結婚式の写真撮影用に使いたいというカップルらが予約し、発売前にも関わらず早々に完売。次回は12月に5本が納入される予定で、予約を受け付けている。

 河口さんは「岐阜和傘は危機的な状況。このままでは岐阜の良き伝統工芸が消えてしまう」と、業界の現状に危機感を募らせている。岐阜は和傘の一大産地だが、職人の高齢化が進み、後継者不足が深刻な問題となっている。こうした中、「新しい傘が和傘を知るきっかけになってほしい」と、市場の活性化に期待を寄せている。


カテゴリ: くらし・文化