じゃがいもの挑戦、道徳に 飯舘村生まれの災害救助犬

2019年03月27日 08:02

災害救助犬への挑戦が教科書に掲載されることになった「じゃがいも」と上村智恵子さん=23日、岐阜市日野南

災害救助犬への挑戦が教科書に掲載されることになった「じゃがいも」と上村智恵子さん=23日、岐阜市日野南

 福島第1原発事故後に福島県飯舘村で生まれ、災害救助犬の試験に挑戦を続けて11回目で合格を果たした雑種犬「じゃがいも」(雄、7歳)が、2020年度の小学校の道徳の教科書に登場することになった。26日公表の検定結果で、合格した教科書に含まれていた。飼育する岐阜市のNPO法人「日本動物介護センター」は「頑張ればできるという姿が認められたかな」と喜んでいる。

 掲載は日本文教出版の小学6年生向けで、「希望と勇気、努力と強い意志」を考える教材。担当者がじゃがいもの児童書の読書感想文を読んだのがきっかけという。「偉人を扱う教材は多いが、視点を変えたところから、小学生の子が共感し感じ取れるものがあるのではと考えた」(編集部)。

 教科書では、「上村さんのちょうせん ひさい犬と共に」と題し、訓練を担った上村智恵子さん(46)=関市=の目線で、失敗を重ねた6年間の葛藤と成長を4ページで振り返っている。

 じゃがいもは、11年3月の原発事故から3カ月後に生まれた。避難指示を受けて飼育ができなくなり、里親探しを頼まれた同NPOが引き取ることに。「被災者の希望になれば」と生後5カ月から訓練を始めたが、臆病さが災いして試験は不合格続きだった。

 自宅まで連れ帰って世話を重ねた上村さんは、「『向いていないんじゃないか』と言われたこともあるが、私はそう思ったことはない」と断言する。

 とどまる位置を教えるために箱を置いてみたり、人に慣れさせるために店舗近くに連れ出したり。工夫を重ねたことで、「小さなことでもちょっとずつ、できるようになっていった」と振り返る。

 17年6月、晴れて試験に合格。今では性格が変わったように自信を付け、前に出るようになったじゃがいもの姿に上村さんは「今はどの犬を見ても『何とかなる』と思える」と自らの訓練士としての自信も深めたという。

 同NPOの下には、今も福島県と地震被害の熊本県の被災犬計14頭が暮らす。山口常夫理事長(67)は「東日本大震災から8年を経て風化が言われる中、教科書掲載が被災地に思いを寄せるきっかけになれば」と話していた。


カテゴリ: 教育 社会

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