豚コレラ、収入補償示さず 早期出荷で農水省

2019年05月09日 08:25

 家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染拡大を受け、岐阜県に早期出荷を提案している農林水産省が8日、生産者や関連業者を対象にした説明会を岐阜市内で開き、早期出荷に伴う養豚農家への補償の枠組みなどを示した。早期出荷について農水省から農家らへの説明は初めてで、農家側はワクチン接種の要望を重ねたため、早期出荷の是非を巡る議論は深まらなかった。農水省は早ければ6月にも希望する農家の早期出荷に着手したい考えで、引き続き県や農家側との協議を進める。

 説明会は非公開で、前半が生産者関係として県養豚協会や県畜産協会、JAグループなど、後半が関連業者として食肉や流通、と畜場などの関係者が出席し、農水省動物衛生課の職員が説明に当たった。

 農水省や県などによると、農水省は早期出荷した豚の売価と、全国平均価格との差額を補てんするほか、休業中の光熱費・人件費などの固定費、施設の衛生水準を高めるための改修費(半額)などを支援する方針を示した。一方、生活の糧を失う農家に対する休業中の収入補償、母豚の導入など経営再開の費用、施設改修費の残る半額の扱いなどは示さなかったという。

 終了後、県養豚協会の吉野毅会長は「(補償の)金額の問題ではない。イノシシ対策が不十分な中、なぜ豚の早期出荷という話になるのか。到底飲むことはできない。引き続きワクチン接種を求める」と語った。

 別の出席者は「(農水省とは)向いている方向がまったく違う」と早期出荷の方針を疑問視。別の流通関係者は「流通向けの補償の話はまったく出なかった」とさらなる説明を求めた。

 農水省の提案は一定の大きさに達した豚は出荷、規格外の子豚などは加工処理し、一時的に豚舎を空にするもの。休業中に豚舎を改修し防疫水準を高める。強制力はなく、希望する農家の協力が前提となる。農水省が4月下旬に県に示し、補償内容などを巡り協議を重ねている。


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