引き揚げ女性暴行、中絶 福岡の特別養護老人ホームで水子供養

2019年05月15日 08:29

水子地蔵前で焼香する参列者=14日午前10時25分、福岡県筑紫野市湯町、むさし苑

水子地蔵前で焼香する参列者=14日午前10時25分、福岡県筑紫野市湯町、むさし苑

 敗戦後、旧満州(中国東北部)や朝鮮半島などからの引き揚げ中に性暴力を受け妊娠した日本人女性たちの中絶手術時に亡くなった胎児を供養する水子供養祭が14日、福岡県筑紫野市の済生会特別養護老人ホーム「むさし苑」の敷地内にある水子地蔵前で行われた。

 むさし苑は引き揚げ女性たちの人工妊娠中絶手術や性感染症治療を行った「二日市保養所」の跡地に建つことから、1982年に水子地蔵を建立。毎年5月14日に供養祭を営んでいる。

 病院関係者や引き揚げ者ら約50人が参列し焼香した。岡本清美さん(70)=埼玉県ふじみ野市=の亡くなった叔母は同保養所で看護婦を務めた。「胎児の供養は叔母の思い残しのように感じ、毎年参列している」と話した。

 同保養所で手術を受けた知人女性をモデルに本を書き、自身も11歳で旧満州からの引き揚げを経験した鈴木政子さん(84)=神奈川県藤崎市=は女性の形見のこけしを持参し、「複数の男性に暴行された人や性感染症で亡くなった人もいた。多くの人に事実を知ってほしい」と語った。

 二日市保養所は京城(現ソウル)帝国大の医師や文化人類学者らが開設。旧ソ連軍兵士などから性暴力を受け妊娠した女性を博多港から搬送し、当時違法だった堕胎を秘密裏に行った。


カテゴリ: 社会