林業にトラクター活用 里山林の丸太、斜面から軽々搬出

2019年07月06日 16:46

 森林や林業について産学官連携で研究などを行う「県森林技術開発・普及コンソーシアム」が岐阜県美濃加茂市の里山林で農業用トラクターの林業分野への活用に取り組んでいる。トラクターに取り付ける欧州製小型ウインチアタッチメントを国内で初めて導入し、6月末に現場で初めてけん引作業を行った。これまで難しかった斜面からの丸太の搬出を軽々とこなし、今後の活用の可能性を確認した。

 コンソーシアムは林業、木材産業、教育機関、県、市町などで構成。会員の美濃加茂市が里山千年構想を掲げて荒廃した里山の再生を進めており、農業用トラクターは里山近くの住民の多くが所有していることから、農閑期にトラクターを里山整備活動に使えないか実現性を探っている。

 コンソーシアムは、会員の産業機械大手クボタ(大阪市)から昨年5月、一般的な25馬力のトラクター1台の寄贈を受けて、美濃加茂市で坂道が上れるか、丸太を引っ張れるかなどの検証を1年間行ってきた。

 伐採補助や搬出作業の安全性と効率性向上のためウインチの必要性を感じ、独自開発も視野に入れたが、小型ウインチアタッチメントの存在を展示会で知り、今年5月にオーストリアのMAXWALD社製品を購入した。

 コンソーシアム事務局の中通実県森林文化アカデミー産学官連携係長は「農業用トラクターを林業で活用する発想はどこにもない」と強調。狭い林道を走行でき、これまで重機で届かなかった場所でも作業が可能となる。災害時の撤去作業などでも活用が見込めるという。

 6月29日に開かれた現地検討・見学会。美濃加茂市が市内で開いた里山整備講座で、トラクター用ウインチアタッチメントによる作業が初披露された。住民や市職員、可茂森林組合員、コンソーシアムの関係者らが見守る中、安全確保のため滑車などを経由して斜面約20メートルを長さ2~4メートルのアベマキの丸太3本を順に引き上げることに成功した。

 アベマキは水分が多く重い広葉樹で、市内に多く分布する。重機の届かない場所では搬出できず、伐採してもそのまま朽ちることがほとんどだった。ウインチアタッチメントの活用により、市農林課の山田夕紀係長は「有効に使える資源の幅を広げられる可能性を感じた」と期待を寄せた。

 中通係長は「音も静かで今後の可能性を大いに認識できた」と手応えを話し、活用方法を検証して「他の里山への普及を図りたい」と意欲を語った。


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