LGBTへ配慮 県内33市町が投票所入場券性別記載廃止

2019年07月19日 08:40

 性的少数者(LGBT)に配慮し、投票所入場券から男女の記載をなくす動きが岐阜県内自治体で進んでいる。21日投開票の参院選では全42市町村中、性別欄の廃止が33市町(78・57%)にまで増えた。LGBTの中でも、心と体の性が一致しないトランスジェンダーにとって、入場券に戸籍上の性別があることが投票所に向かう妨げとなっていた。当事者は性別欄廃止の動きを歓迎しつつ「トランスジェンダーは他人の目を気にしている。外見が戸籍の性別と違っても、自然で柔軟な対応をしてほしい」と投票所で本人確認に当たる職員に理解が広がることを願っている。

 入場券の性別欄は、男女別の投票者数の集計などに必要として記載されてきた。LGBTの当事者団体「ぎふ・ぱすぽーと」代表で自身もトランスジェンダーの田中雪齋(せっさい)さん(72)=各務原市=は「投票所での本人確認の際、見た目は女性なのに、入場券には男とあるので驚いた顔をされた」と体験を振り返る。あの人は男? 女?-。そんな好奇の視線、戸籍上の性別や性自認を周囲にさらされる状況を恐れ、投票を断念するトランスジェンダーが多いという。

 県選挙管理委員会によると今春の統一地方選前までは大垣、羽島、可児の3市だった性別欄の廃止。県議選時点では岐阜市や関市、本巣郡北方町など新たに19市町が廃止方針を示し、今回の参院選ではさらに土岐市、飛騨市、揖斐郡池田町など11市町が記載をやめた。

 性別欄を記載しているのは多治見市、中津川市、美濃加茂市、郡上市、養老郡養老町、不破郡垂井町、加茂郡白川町、東白川村、大野郡白川村の9市町村。本紙の取材に対し「なくす方向だが、集票に影響の出ないやり方を検討中」(美濃加茂市)、「集計の際に男女の判別が必要」(多治見市)などと記載は集計をスムーズに進めるためだと説明した。投票所で名前や性別を読み上げないなど性的少数者への配慮はしているという。

 ただ、性別欄を廃止した自治体でも、男女別の集計は必要なため、数字や記号に置き換えて入場券に印字しているケースが多い。

 雪齋さんは代表を務める団体を通じ、県選管などに性別欄廃止を申し入れてきた。約8割に当たる33市町まで増えたことは前進と捉えるが、「数字や記号に変えても、分かる人には性別と判別できる」と懸念する。一方、大垣市では、性別を示す数字も記号も記載がない。市選管によると、選挙人名簿と投票用紙交付機の機能を併用することで男女別の集計は可能という。

 「選挙権は憲法で保障された国民の権利。トランスジェンダーの私たちもこの国の未来のために、1票を投じたいと思っているんです」と、雪齋さんは言う。


カテゴリ: 政治・行政